外科
科の方針

手術にあたっては、その内容をご説明し、患者さんに納得していただくように努めます。そしてQOL(生活の質)を考慮し、満足度の高い外科的治療を提供します。
診療内容
概要
当院外科は、主として下記の施設の認定を受けており、外科専門医のスタッフ15名、医員10名、計25名(平成27年4月)で診療にあたっています。
そのうち、
- 日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医 2名、専門医 1名
- 日本内視鏡外科学会 技術認定 5名
と高度な資格を取得しています。
なお、当科のスタッフは一般外科、消化器外科をマスターした上で専門医として認定されています。
- 日本外科学会外科専門医制度修練施設
- 日本消化器外科学会専門医制度指定修練施設
- 日本呼吸器外科学会認定修練施設
- 日本乳癌学会認定医・専門医制度認定施設
- 日本食道学会食道外科専門医認定施設
- 日本肝胆膵外科学会高度技能専門医修練施設A
当院の外科では、消化器、呼吸器、乳腺、血管および一般外科などの分野の疾患を取り扱い、治療にあたってはそれぞれ専門医が担当します。そして当科は、心臓の外科的疾患以外は救急外科疾患をはじめほとんどの良性および悪性の外科的疾患に対応しています。以前より、当科では消化器がんの手術症例が多いのが特徴です。とくに、胃、大腸、肝がんの手術症例数は多く、昨年新聞や週刊紙で掲載された手術症例数に基づく全国病院ランキングでは、いずれも上位にランクされております。がん治療では、肺、胃、大腸、肝および乳がんなど主たるがんの手術のほか、化学療法、放射線療法にも力を注いでいます。また、当院は地域がん診療拠点病院であり、当科はその中心的役割を果たしています。
手術症例数
2019年の疾患別年間手術症例数を示しました。
合 計 | 鏡視下 手術 (再掲) |
麻酔内訳 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
全身麻酔 | 脊椎麻酔 | 局所麻酔 | 静脈麻酔 | ||||
総計 | 1,609 | 737 | 1,432 | 18 | 157 | 2 | |
呼吸器 | 肺・気管支 | 166 | 166 | 166 | |||
胸壁・胸膜・縦隔 | 12 | 10 | 12 | ||||
気管 | 5 | 1 | 4 | 1 | |||
その他 | 3 | 2 | 2 | 1 | |||
消化器 | 大腸 | 288 | 158 | 285 | 3 | ||
胆道 | 206 | 176 | 206 | ||||
ヘルニア | 152 | 26 | 139 | 13 | |||
胃・十二指腸 | 111 | 36 | 111 | ||||
虫垂 | 85 | 75 | 85 | ||||
肝臓 | 82 | 34 | 82 | ||||
膵臓 | 54 | 18 | 54 | ||||
イレウス | 51 | 6 | 51 | ||||
小腸 | 44 | 6 | 44 | ||||
食道 | 17 | 16 | 17 | ||||
脾臓 | 3 | 2 | 3 | ||||
その他 | 14 | 1 | 6 | 8 | |||
心臓血管 | 血管 | 57 | 0 | 8 | 48 | 1 | |
乳腺内分泌 | 乳腺 | 106 | 0 | 106 | |||
甲状腺、副甲状腺 | 32 | 0 | 32 | ||||
その他 | 5 | 0 | 4 | 1 | |||
その他 | CVポート | 93 | 0 | 1 | 92 | ||
リンパ | 13 | 2 | 10 | 3 | |||
皮膚および皮下組織 | 5 | 1 | 2 | 3 | |||
腹膜・腹壁等 | 5 | 1 | 4 | 1 |
主な疾患と手術術式および入院期間
疾患 | 手術術式 | 入院期間 |
---|---|---|
急性虫垂炎 | 虫垂切除術 | 4~5日 |
鼠径ヘルニア | 鼠径ヘルニア根治術 | 4~5日 |
甲状腺腫 | 甲状腺腫瘍摘出術 | 6~7日 |
気胸 | 胸腔鏡下肺嚢胞切除術 | 5日 |
胆石症 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 4~5日 |
乳がん | 乳房部分切除術 | 4日 |
乳房全摘術 | 7~10日 | |
胃がん | 幽門側胃切除術 | 11~14日 |
肝がん | 肝部分切除 | 10~12日 |
結腸がん | 結腸切除術 | 10~12日 |
肺がん | 胸腔鏡下肺葉切除術 | 7~9日 |
※ 入院期間はクリティカルパス設定日数
da Vinci(ダビンチ)手術
2019年10月下旬から、低侵襲手術支援ロボットda Vinch(ダビンチ)を用いた手術を開始しました。da Vinchi Xi を導入し、医師、看護師、臨床工学技士からなるチームで取り組み、よりスムーズな手術ができるように日々トレーニングを重ねています。「ダビンチ手術を受けたい」「保険適用になるかどうか知りたい」など、詳しくは当院の主治医にご相談ください。
ダビンチってどんなもの?
ダビンチは内視鏡下の手術支援を行うロボットです。従来の腹腔鏡手術と同じように、小さな切開部を数個作り、執刀医の操作に従って内視鏡・メス・鉗子を動かして手術を行います。低侵襲(身体に傷をつくることを少なくする)手術を可能にするために、3Dカメラと4本のロボットアームを備えています。「サージョンコンソール」「ペイシェントカート」「ビジョンカート」の3つから成り立っています。
サージョンコンソール
操縦席に執刀医が座り、3D画像を見ながら手元のコントローラーを操作します。画像は、高解像度三次元ハイビジョンシステムにより6から10倍に拡大されます。
ペイシェントカート
コントローラーの動きは、4本のロボットアームに伝わります。ロボットアームの先端には、人間の手首に相当する関節があり、先端を自由に曲げることができます。また、先端につける鉗子は360度回転し、ロボットにしかできない動きで手術をサポートします。コンピュータ制御で指の動きを正確に伝え、微細かつスピーディーな操作を行うとともに、手ぶれ防止機能により、より精度の高い操作が可能となりました。
ビジョンカート
モニターに手術中の画像が映し出され、執刀医以外の手術スタッフも同じ画像を見ることができます。
日本での導入
日本では、2012年4月に前立腺がんに対する前立腺全摘除術において、保険適用となりました。これ以後、ロボット支援手術は前立腺がん手術における標準術式としての地位を確立し、日本での本格的な導入が始まりました。2018年4月には胸部、腹部など合わせて14の手術で保険適用となりました。
専門外来
ストーマ外来(予約制)
ストーマ外来とはストーマ(人工肛門、人工膀胱)造設された患者さんが、ストーマ造設前の生活を目指し、より快適な日常生活を送ることができるよう専門的なケアを提供する専門外来です。皮膚・排泄ケア認定看護師が、皮膚障害などストーマケアトラブルの問題解決、精神面のサポートや情報提供を行っています。
【ストーマ外来の内容】
- ストーマ周囲皮膚のトラブルや装具交換に関する相談
- ストーマ装具や関連製品の情報提供
- 日常生活に関する相談
- 家族のサポートや社会資源に関する相談 など
【診察日】
- 毎週木曜日 午後1時~4時
手術成績
2018年の代表的ながんの年間手術症例数と手術死亡数を示しました。
年別手術症例数は各領域別のページに記載があります。
がんの部位 | 手術症例数 | 手術死亡数 | 在院死亡数 |
---|---|---|---|
大腸 | 212 | 1 | 0 |
(結腸) | (126) | (1) | (0) |
(直腸) | (86) | (0) | (0) |
肝・胆・膵 | 126 | 1 | 1 |
肺 | 93 | 0 | 0 |
乳 | 114 | 0 | 0 |
胃 | 95 | 1 | 0 |
- 手術死亡数は、入退院の区別なく、術後30日以内に死亡した患者数
- 在院死亡数は、手術後、退院せずに死亡した患者数(手術死亡数を除く)
※がんの治療および手術成績などの詳細については各論の項目をご覧ください。
各専門領域の診療実績
肝胆膵・血管
2016-2021年の年間手術件数(平均) | |
---|---|
肝切除 | 92 |
膵切除 | 57 |
胆のう摘出術 | 196 |
胸部
上部消化管
数は症例数、( )内は鏡視下手術例数
【胃がん】
2018年:
幽門側胃切除72(30)
胃全摘19(1)
胃局所切除9(8)
噴門側胃切除3(2)
その他6(0)
2019年:
幽門側胃切除55(18)
胃全摘24(2)
噴門側胃切除7(4)
胃局所切除4(3)
分節切除2(2)
幽門保存胃切除1(1)
その他6(3)
2020年:
幽門側胃切除45(15)
胃全摘14(0)
噴門側胃切除2(1)
胃局所切除7(6)
分節切除1(1)
幽門保存胃切除2(2)
その他3(0)
2021年:
幽門側胃切除41(11)
胃全摘25(3)
噴門側胃切除0(0)
胃局所切除3(3)
分節切除0(0)
幽門保存胃切除1(1)
その他6(4)
【食道がん】
2018年:9、 2019年:15、 2020年:13、 2021年:10
下部消化管
原発性大腸がんの手術 2021年
結腸がん手術 116例 ( うち腹腔鏡下手術 63例)
直腸がん手術 77例 ( うち腹腔鏡下手術 41例)
( うちロボット支援下(da Vinci)手術 30例)
稀少がん手術 2014~2021年
小腸がんの手術 33例
消化管GISTの手術 12例
消化管NETの手術 8例
乳腺内分泌