IVRセンター
IVRセンターについて
放射線診断で使用する画像診断装置を利用して行う低侵襲治療や特殊検査を総称してIVR (Interventional Radiology:インターベンショナルラジオロジー)とよびます。具体的には腫瘍性病変や出血性病変に対する血管塞栓術、下肢動脈や冠動脈(心臓を養う動脈)の狭窄や透析シャント血管の狭窄などを治療する血管拡張術、胃静脈瘤や血管腫・血管奇形などの治療のための硬化療法、ラジオ波を用いた腫瘍性病変の治療、膿瘍の治療のためのドレナージ術、腫瘍を診断するための生検術などであり、広い範囲の臓器・疾患を対象にしています。
近年、IVRは診療に欠かせない手技となっています。当院でも放射線科、循環器内科、肝臓病センター、救急センター、外科、血管外科、呼吸器病センター、脳神経外科の各部門で従来からさまざまな低侵襲治療(血管内治療、非血管内治療)が行われてきました。最近ではIVRの発展とともに、各科・部門を超えたチーム医療が最も重視される分野の一つとなっています。各診療部門の医師はもちろんのこと、麻酔科医、診療放射線技師、看護師、臨床工学技士の迅速な対応・協力が必要です。業務は多岐にわたり、IVRに使用される血管撮影装置やCT、呼吸・循環・代謝などを管理記録するための多種多様な医療機器などの効率的運用、精度管理、安全性の確認などが行われます。
2015年4月にIVRセンターが開設され、限られた設備を効率的、有効的に使用し、各部門間の連携・調整を今まで以上に図ることが可能になりました。基本方針としては「患者中心のIVR、患者を中心としたチーム医療」を掲げました。患者さんのための医療を皆で再確認し、患者さんに気持ちよくIVRを受けていただけるように全員で対応していきたいと思います。医療技術・検査技術の向上に努力し、低侵襲で効果の高い医療を提供できるようにスタッフ一同が常に心がけ、患者さんの思いを取り入れて、安全・安心な診療を提供してまいります。
新病院では、これまでと同様に、汎用性のあるIVR-CT装置に加え、循環器用の血管造影装置も設置されることになっており、2つの検査室体制になります。緊急IVRが必要な場合にもこれまで以上に迅速な対応が可能となります。

IVRの症例
大腸憩室出血に対する緊急止血術
CTで大腸内に造影剤の漏出がみられる(出血を表している)。


血管造影で責任血管を同定し、マイクロカテーテルをその血管にすすめた。造影剤が大腸の内腔に漏出している。


出血の責任動脈を塞栓後。出血は完全に止まっている。

透析シャント不全に対する血管拡張術



膿瘍に対するCTガイド下ドレナージ

重症膵炎後の腹腔内膿瘍に対するCTガイド下ドレナージ。大きな膿瘍がみられている。
CTガイド下に膿瘍を穿刺。

ガイドワイヤーの挿入(X線透視下)

複数のドレーンを留置
肝腫瘍に対する肝動脈化学塞栓術




胃静脈瘤に対する経静脈的胃静脈瘤硬化療法(BRTO)





骨盤部血管奇形に対する動脈塞栓術



2016年度実績

