目は元気なのに見づらい?原因は「まぶた」かもしれません
まぶたは、ものを見るうえで大切な役割を担っています。眼球に問題がなくても、まぶたの状態しだいで、見づらさや痛みが出ることがあります。
まぶたの悩みを抱える人は、日本に数百万人いるといわれています。しかし、なかには「治療できないもの」と思い込んでいる方もいます。
今回は、まぶたの代表的な病気である「眼瞼下垂」と「さかまつげ」について、原因、症状、治療方法を紹介します。

眼瞼下垂(がんけんかすい)
眼瞼下垂とは?原因と症状
まぶたの病気で多いのが、眼瞼下垂です。
眼瞼下垂とは、まぶたが下がって、ものが見づらくなる状態をいいます。最も多い原因は加齢による変化で、皮膚がたるんで目にかぶさったり、まぶたを上げる筋肉の働きが弱くなったりします。
コンタクトレンズが原因になることもあります。ソフトよりハードで起こりやすく、30~40代で発症する人もいます。まれに、重症筋無力症など別の病気が隠れていることもあります。

まぶたが下がると、視界を確保しようとして、無意識におでこにしわを寄せ、眉毛を上げるようになります。このような状態が続くと、肩こりや頭痛、不眠などの症状が現れることもあります。
見た目に影響することもあります。まぶたが下がっておでこにしわができると、実際の年齢よりも老けた印象になる場合があります。また、左右でまぶたの開き方が異なると、その差が目立つこともあります。
眼瞼下垂の治療と手術
眼瞼下垂の治療は、基本的に手術になります。
手術は局所麻酔で行い、まぶたに麻酔薬を注射します。日帰り手術も可能ですが、出血しやすくなる薬を使用している方や、遠方にお住まいで通院が難しい方などは、1泊入院となる場合があります。
手術時間は片側20~40分程度で、両側の場合は同じ日に行います。手術方法は、眼瞼下垂の原因やまぶたの状態によって異なります。
皮膚のたるみが強い場合
まぶたを上げる筋肉に大きな問題がなく、皮膚のたるみが主な原因となっている場合は、目にかぶさっている余分な皮膚を切除します。
一般的な切除方法
一般的な方法では、まぶたの縁で皮膚を切除しますが、術後に腫れやすく、まぶたが厚ぼったくなりやすい難点があります。

拡大眉毛下皮膚切除術
眉毛の下に沿って皮膚を切除する「拡大眉毛下皮膚切除術」という方法もあります。
この方法は、術後の腫れが比較的少なく、まぶたが厚ぼったくなりにくいという長所があります。一方で、たるみが強い場合には適さないこともあります。

どちらの方法にも長所と短所があるため、患者さんと相談しながら手術方法を決めていきます。
まぶたを上げる筋肉の働きが低下している場合
眼瞼挙筋(まぶたを上げる筋肉)の機能が低下している場合は、皮膚だけでなく筋肉に対する手術が必要になります。
その一つが「眼瞼挙筋前転術」です。眼瞼挙筋をいったん切り離し、前方に引き出して縫い付ける方法です。

手術では、左右のまぶたの開き方をできるだけそろえるようにしますが、完全に左右をそろえることは簡単ではありません。左右差が目立つ場合には、再手術で修正することもあります。
また、手術から数年から数十年後に再発し、再手術が必要になる場合もあります。
眼瞼下垂の治療については、以下のページで詳しく解説しています。
さかまつげ
さかまつげとは?2つの種類と症状
まつげが内側を向くと、眼球に当たり、痛みやかゆみが起こります。重症の場合には、視力に影響が出ることもあります。
さかまつげには、「睫毛内反」と「眼瞼内反」の2つの種類があります。
- 睫毛内反: まつげだけが内側を向いている状態
- 眼瞼内反: まぶた自体が内側を向いている状態
それぞれ原因や症状、手術方法が異なるため、順番に説明します。

睫毛内反(しょうもうないはん)
まつげが生まれつき内側を向いている状態です。
軽症なら症状が出ないこともあり、成長とともに良くなる場合もあります。症状が強い場合は、手術を検討します。
手術は10歳以上であれば局所麻酔で行えることが多く、日帰り手術も可能です。全身麻酔の場合は、1~2泊の入院となります。
手術時間は片側20~40分程度で、両側の場合は同じ日に手術します。

睫毛内反の手術方法
手術方法は、下まぶたと上まぶたで異なります。
下まぶたの場合
当院では、「Hotz(ホッツ)変法」と「内眼角形成術」を組み合わせることが多いです。
Hotz変法:下まぶたの皮膚を切除して、まつげを外側に向ける手術です。
内眼角形成術:いわゆる目頭切開です。目頭を覆っている皮膚(蒙古ひだ)を切り、まつげを外側に向けます。

術後の再発はまれですが、傷跡の赤みがしばらく目立つことがあります。赤みは半年~1年程度で目立ちにくくなる場合がありますが、経過には個人差があります。
上まぶたの場合
上まぶたでは、二重まぶたを形成する「重瞼術」を行うことで、まつげを外側に向けます。
手術の方法には「切開法」と「埋没法」の2種類があります。
切開法
皮膚を切開し、皮膚と瞼板を縫い付ける方法です。
傷跡は残りますが、二重まぶたのラインに隠れて目立ちにくくなります。
術後に腫れやすく、やり直しが難しい一方で、一重まぶたに戻ることはまれです。

埋没法
皮膚をほとんど切らず、糸で縫う方法です。
切開法と比べて腫れにくく、やり直しもしやすいという長所があります。一方で、糸が外れて一重まぶたに戻ることがあります。
どちらの方法にも長所と短所があるため、患者さんと相談しながら決めます。
眼瞼内反(がんけんないはん)
眼瞼内反は、加齢によってまぶたがゆるみ、まぶた自体が内側を向いてしまう状態です。
睫毛内反とは異なり、高齢の方に多く見られます。下まぶたに起こることがほとんどで、上まぶたではめったに起こりません。

眼瞼内反の治療と手術
眼瞼内反は、自然に良くなることはめったにありません。
症状が軽い場合は、眼球を保護する目薬を使用したり、まつげを抜いたりして対応しますが、これらは根本的な治療にはなりません。症状が強い場合には、手術を検討します。
手術は眼瞼下垂と同様に局所麻酔で行うことができ、日帰りまたは1泊入院となります。手術時間は30~40分程度です。
当院では、「柿崎法(LER advancement)」という手術方法を主に行っています。これは、下まぶたを支える下眼瞼牽引筋腱膜(LER)を前方に引き出す方法です。
手術後、数年から数十年が経過して再発する場合もあり、その際には再手術を検討します。
眼瞼内販の治療については、以下のページで詳しく説明しています。
まぶたの手術後の生活について
ここまで、眼瞼下垂とさかまつげの手術について説明してきましたが、手術に対する恐怖や不安を感じる方もいらっしゃると思います。
まぶたの手術では、手術方法や術後の状態によっては、手術直後から洗顔が可能で、特別な安静を必要としない場合が多いです。
一方で、術後に痛みや腫れが生じることがあります。2~3週間程度は紫色に腫れ、見た目にも目立つことがあります。腫れが引いた後も、手術方法によっては目元の印象が変わる場合があります。
こうした術後の経過も踏まえ、手術を受ける時期について、医師とよく相談することが大切です。
当科の「症例・治療紹介」ページでは、治療について写真を交えて紹介しています。
まぶたの症状でお悩みの方へ
眼瞼下垂やさかまつげなどの手術は、病状や治療内容によって健康保険が適用される場合があります。また、加入している民間の医療保険の契約内容によっては、給付金を受けられることもあります。
「年齢のせいだから仕方がない」「治療は難しいのでは」と思っている方も、まぶたの症状でお悩みの場合は、ぜひ一度ご相談ください。
※本記事は広報誌「やわらぎ」(196号:2026春号)に掲載したものをWEB用に再編集したものです。
この記事を書いた人
この記事を書いた人
- 診療部長
- 日本形成外科学会 形成外科専門医
- 日本創傷外科学会 専門医
- 日本形成外科学会 皮膚腫瘍外科分野指導医
- 日本形成外科学会 領域指導医
- 岡山大学医学部医学科臨床教授









