子どものアトピー性皮膚炎はどう治療する?塗り薬・スキンケアのポイント

かゆみをもつ子どものイメージ写真

子どもの肌に赤みや湿疹しっしんが続いたり、薬を塗っていてもなかなか良くならなかったりすると、「この治療で大丈夫なのかな」と不安になることもあるのではないでしょうか。

アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。治療では、炎症を抑える薬だけでなく、毎日のスキンケアや、症状を悪化させる刺激への対策も大切になります。

また、小児のアトピー性皮膚炎には、年齢によって湿疹が出やすい部位や症状のあらわれ方が異なるという特徴があります。乳児期(赤ちゃんの時期)には顔や頭に湿疹がみられることが多く、学童期になると首やひじ・ひざの内側などに症状が出ることがあります。それぞれの年齢や皮膚の状態に合わせて治療を調整していきます。

この記事では、子どものアトピー性皮膚炎の治療の基本や、塗り薬の使い方、スキンケアのポイント、治療していても良くならないときの考え方について、わかりやすくご紹介します。

※アトピー性皮膚炎の症状や治療方法、治療経過には個人差があります。使用できる薬は、年齢や症状、既往歴きおうれきなどによって異なります。

子どものアトピー性皮膚炎、治療の基本は3つ

アトピー性皮膚炎の治療は、主に次の3つを組み合わせて行います。

  • 薬による治療
  • スキンケア
  • 悪化させる原因への対策

皮膚に炎症が起こると、赤みやかゆみが出ます。そこで皮膚をかくと、バリア機能がさらに低下し、外からの刺激を受けやすくなります。すると、さらに炎症やかゆみが強くなるという悪循環に陥りやすくなります。

かゆみ、ひっかく、バリア機能の低下、刺激の侵入、アレルギー炎症が繰り返される悪循環を示した図。

この悪循環を断ち切るために、まずは薬で炎症をしっかり抑えます。あわせて、保湿剤などで皮膚のバリア機能を守り、汗や乾燥、衣類の摩擦まさつ、ダニなど、その子にとって症状を悪化させる要因をできる範囲で減らしていきます。

基本となるのは「塗り薬」です

子どものアトピー性皮膚炎では、炎症を抑える外用薬がいようやく(=塗り薬)が治療の中心になります。

代表的なのが、ステロイド外用薬です。ステロイド外用薬にはいくつかの強さがあり、子どもの年齢や症状の程度、顔や体など塗る場所に合わせて使い分けます。

「ステロイドは、できるだけ使わない方がよいのでは…」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、炎症が十分に治まらないまま薬を減らしたり中止したりすると、かゆみや湿疹を繰り返すことがあります。

そのため、症状に合った強さの薬を、必要な量・期間、きちんと使うことが大切です。

ステロイド外用薬では、皮膚が薄くなる、毛細血管もうさいけっかんが目立つなどの副作用がみられることがあり、注意が必要です。副作用の起こりやすさは、薬の強さや塗る場所、量、使用期間によって異なります。

不安がある場合は、自己判断で薬を減らしたり中止したりせず、皮膚の状態を確認しながら医師と相談して治療を続けましょう。

※症状や年齢に応じて、タクロリムス軟膏なんこう、JAKジャック阻害外用薬、PDE4ピーディーイーフォー阻害外用薬など、ステロイドとは異なる仕組みで炎症を抑える薬を使うこともあります。

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「どの薬か」だけでなく「どのくらい塗るか」も大切です

アトピー性皮膚炎の塗り薬は、薬の種類だけでなく、必要な量をきちんと塗ることも大切です。塗る量が少なかったり、必要な範囲に十分に塗れていなかったりすると、薬の効果が十分に得られず、炎症がなかなか治まらないことがあります。

そこで、塗る量の目安として使われるのが、FTU(フィンガーチップユニット)です。

FTUは、外用薬をどのくらい使えばよいかを分かりやすくするための目安で、大人の人差し指の先から第1関節までチューブから出した薬の量を1FTUとする考え方です。1FTUは約0.5gで、大人の手のひら約2枚分の範囲に塗る量の目安になります。
子どもでは年齢や体の大きさ、顔・腕・脚・体など塗る場所に合わせて必要な量を考えます。

「薄く塗ったほうが安心」と思って、必要以上に少ない量を塗ってしまうこともありますが、大切なのは、症状に合った薬を適切な量で使うことです。

※実際に必要な量はお子さんによって異なるため、受診した際に「この場所にはどのくらい塗ればよいですか?」と医師に確認しておくと、ご家庭でも治療を続けやすくなります。

大人の人差し指の先から第1関節までチューブから出した外用薬の量を、1FTUとする目安を示した図

良くなった後も、皮膚の状態を保つ治療を続けます

アトピー性皮膚炎は、見た目の症状が良くなっても、再び湿疹が出ることがあります。そのため、症状が落ち着いた後も保湿剤によるスキンケアを続け、皮膚の良い状態を保つことが大切です。

湿疹を繰り返しやすい場合には、「プロアクティブ療法」を行うこともあります。プロアクティブ療法とは、症状が良くなった後も、湿疹が出やすい部分に抗炎症外用薬こうえんしょうがいようやくを定期的に塗り、再発を防ぐことを目指す治療方法です。

治療の目標は、赤みやかゆみを抑えることだけではありません。夜ぐっすり眠れる、運動や学校生活に集中できるなど、症状を気にせず日常生活を送れる状態を保つことも大切です。

リアクティブ療法では症状が悪化したときに抗炎症外用薬を使用し、プロアクティブ療法では症状が落ち着いた後も定期的に使用することを示した比較図。

毎日のスキンケアも治療の一部です

アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥しやすくなっています。見た目には湿疹がない部分でも乾燥していることがあるため、毎日の保湿も大切な治療の一つです。

入浴やシャワーでは、汗や汚れをやさしく洗い流し、皮膚を清潔に保ちましょう。石けんや洗浄料はよく泡立て、タオルなどで強くこすらないようにします。

洗った後は泡が残らないよう十分にすすぎ、入浴後は時間を空けすぎずに保湿剤を塗ります。湿疹のある部位だけでなく、乾燥している部分や必要に応じて全身を保湿し、皮膚のうるおいを保つことが大切です。

また、汗や乾燥、衣類の摩擦などが、かゆみや湿疹を悪化させることもあります。爪を短く整えるなど、かいて皮膚を傷つけないための工夫も大切です。

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食物アレルギーとの関係は?

アトピー性皮膚炎のある子どもでは、食物アレルギーを合併することがあります。

近年は、湿疹などで皮膚のバリア機能が低下していると、皮膚から食物の成分が入り込み、食物アレルギーの発症につながる可能性があることもわかってきています。

ただし、アトピー性皮膚炎があるからといって、特定の食べ物を自己判断で除去する必要はありません。 血液検査の結果だけで食物アレルギーを判断することも適切ではないため、食後にじんましんや嘔吐おうとなどの症状がみられる場合は、医師に相談しましょう。

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よくある質問

治療しているのに良くならないときは?

「薬を塗っているのに良くならない」という場合は、まず塗る量や回数、塗る範囲、薬の強さ、毎日のスキンケアが適切かを確認します。

また、皮膚の感染症など別の疾患がないか、診断や症状の程度を見直すこともあります。

外用薬による治療を適切に行っても十分に改善しない場合や重症の場合には、年齢や症状に応じて、生物学的製剤せいぶつがくてきせいざいと呼ばれる注射薬や内服薬などを検討することもあります。

小児科と皮膚科、どちらを受診すればいい?

子どもの湿疹には、乳児湿疹などアトピー性皮膚炎以外のものもあります。アトピー性皮膚炎が疑われる場合は、小児科でも皮膚科でも相談できます。

赤みやかゆみが長く続く、湿疹を繰り返す、夜眠れないほどかゆがる、今の治療で良くならないといった場合は、医療機関に相談しましょう。

当院の小児科では、症状の程度にかかわらず、アトピー性皮膚炎を幅広く診療しています。重症の場合にも対応しており、食物アレルギーやぜん息など、ほかのアレルギー症状を伴う場合も含め、お子さんの状態に応じて治療を行い、必要に応じて他の診療科とも連携します。

まとめ:治療で改善がみられないときは、塗り方も含めて確認を

子どものアトピー性皮膚炎は、治療が長く続くこともあり、保護者の方が不安や負担を感じることもあります。

外用薬による治療では、薬の種類だけでなく、どこに、どのくらい、どのくらいの回数で塗るかも大切です。皮膚の状態に合わせて、塗り方を見直すことで症状の改善につながることもあります。

当院でも、お子さんの皮膚の状態を確認しながら、ご家庭で無理なく続けられる治療方法を一緒に考えていきます。
「薬を使っているのに良くならない」「今の治療を続けてよいのかわからない」と感じるときは、自己判断で薬を減らしたり中止したりせず、医師にご相談ください。

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参考サイト
この記事を書いた人

この記事を書いた人

内田 伊織(うちだ いおり)

所属
役職
  • 医長
資格
  • 日本小児科学会 専門医
うちだ いおり

この記事を書いた人

喜多村 哲朗(きたむら てつろう)

所属
役職
  • 診療顧問
  • CPT(済生会子ども救助隊)リーダー
資格
  • 日本小児科学会 専門医
  • 日本アレルギー学会 指導医(小児科)
  • 岡山大学医学部医学科臨床教授
きたむら てつろう

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岡山済生会総合病院 / 岡山済生会外来センター病院

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