小児のアトピー性皮膚炎に対する外用療法
アトピー性皮膚炎の治療には、外用薬や注射薬などさまざまな方法があり、近年は治療の選択肢も広がっています。
治療では、紅斑や乾燥などがみられず、触るとなめらかな皮膚の状態(寛解)を目指します。一方で、症状が重い場合には、寛解に至ることが難しいケースもあります。
当院では、皮膚の状態を確認しながら、外用薬の種類だけでなく、塗る場所や量、回数なども含めて外用療法を検討しています。
以下に、外用療法の内容と塗布方法を見直して治療を行った一例をご紹介します。
※ここで紹介する経過は一例であり、同様の治療結果を示すものではありません。治療による皮膚症状の変化や治療期間は患者さんによって異なります。
外用療法を見直した治療の一例
ステロイド外用薬による治療を続けていましたが、皮疹が改善せず、当院を受診した7歳児の例です。
受診時には全身に皮膚の乾燥があり、額には紅斑や丘疹、軽度の掻破痕がみられました。頸部から体幹には、苔癬化(皮膚が厚く硬くなった状態)や滲出性の紅斑、丘疹、少量の鱗屑がみられました。
四肢では、特に手首、足首、関節の屈側に苔癬化や強い紅斑、掻破痕がみられ、一部はびらんとなっていました。
アトピー性皮膚炎の重症度を評価するEASIスコアは28.2点でした。
症状に合わせた外用薬の使い分け
皮膚の状態や部位に合わせて、外用ステロイド薬の種類を使い分けました。
- 額:III群の外用ステロイド薬
- 頸部以下:II群の外用ステロイド薬
- 特に皮疹が強かった膝裏や足首:I群の外用ステロイド薬を重ねて塗布
また、「どこに、どの薬を塗るのか」が分かるよう、外用指導表を用いて塗布方法を説明しました。
[図1 外用指導表(治療開始時)]

塗布量および回数
外用薬は、薬の種類だけでなく、必要な量を適切な範囲に塗ることも重要です。
この例では、1FTU(Finger Tip Unit)を目安にした塗布指導を行い、外用する範囲、塗布回数、使用日数から必要な処方量を算出しました。
全身への外用が必要であったため、1か月分として、II群の外用ステロイド薬と保湿剤の合剤600g、III群の外用ステロイド薬20g、I群の外用ステロイド薬50gを処方しました。
本症例の治療経過
治療開始2週間後、EASIスコアは28.2点からほぼ0点へ推移し、皮膚所見は色素沈着を残す状態となりました。
治療開始前と治療開始2週間後
[図2 治療開始前の皮膚所見]



[図3 治療開始2週間後の皮膚所見]



この写真で行った治療について
- 治療内容
皮膚の部位や症状の程度に応じて外用ステロイド薬を使い分け、1FTUを目安に、塗布する範囲・量・回数について指導しました。 - 写真の比較時期
治療開始前と治療開始2週間後です。治療はその後も皮膚の状態に応じて継続しています。 - 費用
保険診療です。診察料や薬剤費などがかかります。自己負担額は、保険の負担割合や公費助成の有無などによって異なります。 - 主なリスク・副作用
ステロイド外用薬では、皮膚萎縮、毛細血管拡張、にきび様の症状、皮膚感染症などの局所副作用が生じることがあります。副作用の生じやすさは、使用する薬剤の強さや塗布量、使用期間などによって異なります。
その後の治療
外用ステロイド薬を減らしていく過程で、かゆみや皮疹がみられたため、現在はジファミラスト外用薬とJAK阻害外用薬を併用し、II群の外用ステロイド薬は週1回程度使用しています。
EASIスコアの推移
| 治療開始時 | 治療開始2週間後 | |
|---|---|---|
| EASIスコア | 28.2点 | ほぼ0点 |
血清TARC値の推移
アトピー性皮膚炎の重症度の指標の一つである血清TARC値についても経過を確認しました。
| 治療開始前 | 治療開始2か月後 | |
|---|---|---|
| 血清TARC値 | 9,599 pg/mL | 527 pg/mL |
この例では、外用薬の種類に加えて、塗布する場所や量、回数を具体的に見直しながら治療を行いました。
アトピー性皮膚炎の症状や治療経過、必要となる外用薬の種類や量は患者さんによって異なります。皮膚の状態を確認しながら治療方法を検討することが大切です。

