小児の食物アレルギーに対する経口負荷試験

食物アレルギーに対する食物経口負荷試験

食物経口負荷試験は、アレルギーの原因と考えられる食品を実際に摂取し、症状の有無や、どの程度まで摂取できるかを確認する検査です。

アナフィラキシーなどの強いアレルギー症状が起こる可能性があるため、これまでの症状や検査結果などを踏まえて実施します。

近年、食生活の変化などにより、食物アレルギーの原因となる食品にも変化がみられています。以前は鶏卵、牛乳、小麦が主な原因食品でしたが、近年はナッツ類、特にクルミによる食物アレルギーも増えています。

鶏卵、牛乳、小麦に加え、ナッツ類のアレルギーは治りにくいことがあります。食物経口負荷試験は、これまでの症状や検査結果などを踏まえ、患者さんごとに実施の可否を慎重に判断する必要があります。

当院では、さまざまな食品について食物経口負荷試験を行っています。ナッツ類についても、これまでの症状や検査結果などを確認し、患者さんごとに適応を検討したうえで実施しています。

過去にアナフィラキシーを起こした患者さんや、特異的IgEが高値である患者さんについても、患者さんごとに適応を慎重に検討したうえで実施する場合があります。

クルミに対する食物経口負荷試験の一例

X年10月、クルミを含む食品を摂取した約1時間後に、嘔吐、目の充血、全身のじんましんが出現し、アナフィラキシーを起こした3歳児の症例です。
アナフィラキシーの治療を終えた後、当院にて医療者が付き添う環境のもと、クルミの単回食物負荷試験を行いました。

少量から負荷を開始します

クルミパウダー0.01gというごく少量から摂取を開始し、症状の有無を確認しながら、徐々に負荷量を増やしていきました。

経過中には、軽い咳や口のかゆみなどがみられたこともあり、その都度、症状を確認しながら負荷試験を行いました。

当初は5gまでの負荷を目標としていましたが、クルミの味を好まなかったため、1gまでとしました。現在は、他のナッツ類についても食物経口負荷試験を行っています。

以下は、患者さんの状態を確認しながら複数回にわたって負荷試験を行った一例です。実施回数や負荷量、進め方は患者さんによって異なります。

クルミパウダー負荷量の経過
本症例で実施した負荷量の経過

小児食物アレルギーにおけるクルミパウダー負荷量(g)の推移:0か月(0.01g)、2か月(0.02g)、4か月(0.03g)、6か月(0.05g)、7か月(0.07g)、9か月(0.1g)、10か月(0.2g)、11か月(0.4g)、12か月(0.5g)、16か月(1g)。

特異的IgE値の推移

負荷試験の経過中に測定したクルミ特異的IgEおよびJugr1特異的IgEは、以下のように推移しました。

X年11月X+1年11月
クルミ特異的IgE173 UA/mL70.5 UA/mL
Jugr1特異的IgE155 UA/mL76.5 UA/mL

※Jugr1はクルミのタンパク質の一種で、アレルギー反応に密接に関係します。
※特異的IgE値はさまざまな要因により変動します。本症例における検査値の変化は、食物経口負荷試験による効果を示すものではありません。

食物経口負荷試験でみられる症状や負荷可能な量、検査値の推移は患者さんによって異なります。また、食物経口負荷試験では強いアレルギー症状を起こす可能性があります。自己判断で家庭で試すことはせず、医療機関にご相談ください。

食物経口負荷試験の実施件数

  • 外来負荷試験:270件
  • 入院負荷試験:400件

※集計期間:2024年4月1日~2025年3月31日