血管腫・脈管奇形

乳児血管腫(いちご状血管腫)

イチゴのような形をした赤あざで、全身どこにでもできますが、首から上にできることが多いです。皮膚の深いところにあると、青く見えます。

自然に小さくなることが多いですが、約7~8年かかります。
また、ものによっては目立って残る可能性もあります。

レーザー、または内服薬を生後早期から導入することによって赤みや盛り上がりを改善することが可能です。

レーザーは1~3か月おきに照射し、複数回の照射を要します。
内服薬は2016年9月から保険診療が可能となった新しい薬剤であり、有効性・安全性共に非常に高く、期待されている治療法です。
欠点としては、開始時にこまめなチェックが必要なため約5日間の入院が必要な点が挙げられます。
血管腫のタイプによって治療方法を調整していきます。
ほぼ完全に消えることも多いですが、しわのような傷跡が残ることもあります。

毛細血管奇形(単純性血管腫)

平らな赤あざです。
上まぶたに出現するものは自然に消えることがありますが、大部分は消えません。
数年~数十年かけて色調が濃くなったり、隆起(盛り上がり)してくることもあります。

レーザーによって赤みを改善させることができます。
レーザーを3~6か月おきに照射します。

全く効かないことが少ない代わりに、完全に消えないことも多いです。
レーザーの効果がなくなってきたと判断したら中断します。

隆起が強い病変は手術を考慮します。

静脈奇形(海綿状血管腫)

静脈が異常に拡張して絡み合ったようになった良性の病変です。

基本的には先天性で、全身のどこにでも発生し、目に見えて分かる浅いものから、症状が出るまで気が付かない深いもの、米粒大のものから広範囲に及ぶものまで様々です。自然に消えることはなく、けがや思春期・月経・妊娠などのタイミングで大きくなったり、症状が出てくることがあります。

良性の病変であるため治療は必須ではありませんが、見た目や病変による腫れ(下になると腫れることが多い ※どこに対して下なのか記載)・痛み・出血などが問題になってくる場合、治療を考慮します。

治療は、

  1. 切除(場合によっては部分的に切除)
  2. 硬化療法(針を刺して病変内に薬剤を散布することで異常血管を潰すことを目指す)
  3. 圧迫療法(四肢では特に有効になり得る)
  4. 内服薬

を主に使用します。

場合によっては、複数回の治療や治療方法を組み合わせることがあります。

リンパ管奇形(リンパ管腫)

リンパ管が異常に拡張して袋様(嚢胞状)に変化した良性の病変です。

基本的には先天性で、全身のどこにでも発生し、小児期では自然消退も起こり得ます。

見た目や、病変内外の出血・感染、痛み、リンパ漏、発生部位による周囲組織の圧迫による諸症状が問題となり得ます。

自然消退を考えて経過観察で良い場合もありますが、症状などが問題となる場合、治療介入を考慮します。

治療は、

  1. 切除
  2. 硬化療法(針を刺して病変内に薬剤を散布することで異常リンパ管を潰すことを目指す)
  3. 内服薬

を主に使用します。

場合によっては、複数回の治療や治療方法を組み合わせることがあります。

特に最近では漢方薬の有効性や、mTOR阻害剤と呼ばれる新規の治療薬の有効性も注目されており、今後の治療の発展に期待が持てる分野でもあります。

動静脈奇形

異常な動脈、静脈が発達して生じた良性の病変です。

先天性の場合、もしくは外傷(けが)や手術がきっかけで生じる場合がある、とされます。

自然消退はなく、長期間目立った変化がない場合もありますが、進行性に変化し得る病変です。
増大傾向が強い場合や腫れた場合、痛み・出血・潰瘍形成(傷になる)などの症状を呈してきた場合には、治療介入を行います。

治療法は鎮痛薬や弾性ストッキングなどを用いた圧迫、切除術、血管内治療としての硬化療法や血管塞栓
術があり、病変の状態に応じて各種治療を段階的にまた組み合わせつつ行います。

混合型脈管奇形

前述の毛細血管奇形、静脈奇形、リンパ管奇形、動静脈奇形が、単一の病変としてではなく一同時に認められる場合があり、「混合型脈管奇形」と称されます。

多くの疾患が報告されていますが、代表的なものとしては「クリッペル・トレノネー症候群」が存在します。

根治療法が存在しないため、成長や病状に応じて、前述の様々な治療法、時には装具による補助なども併せつつ、治療を行っていきます。

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