膵臓手術について

膵臓手術について

医療機器や手術手技の進歩により、膵臓の手術も大きく変わってきています。膵臓手術事情について一部をご紹介します。

膵臓手術はどのようなものなの? 誰が受けるの?

 膵臓手術の対象となる病気はいくつもあります。代表的なものは膵臓がんですが、がん以外の膵臓の病気に対しても手術が行われることがあります。また、胆管や十二指腸の腫瘍などでも膵臓を切る手術が行われるときがあります。

膵臓手術のやり方には、主なものとして次の3種類があります。

  • 膵臓の右側(頭側)を切り取るもの
  • 膵臓の左側(尾側)を切り取るもの
  • 膵臓をすべて切除するもの

膵臓はオタマジャクシのような形をしているので、右側を頭側、左側を尾側(しっぽ側)といいます。右側(頭側)を切除するものと左側(尾側)を切除するものの模式図は下記のとおりです。

肝臓、胃、脾臓、胆管、膵体尾部、膵頭部、十二指腸、乳頭部、切除する部分 膵臓の右側を切除するとき
肝臓、胃、脾臓、胆のう、膵体尾部、膵頭部、十二指腸、乳頭部、切除する部分 膵臓の左側を切除するとき

右側(頭側)を切除する場合は、食事や胆汁、膵臓から出てくる膵液の通り道を作らないといけないため(これを再建といいます)、手術に時間がかかります。

膵臓は腹部の奥深くにある臓器です。膵尾部に腫瘍がある検査画像を見ると、膵臓はおなかの奥深く、背骨の少し前にあることがわかっていただけると思います。奥深くに位置していることが、病気の症状が出にくい、手術が難しい、といった膵臓手術特有の問題につながっています。

膵尾部に腫瘍があるCT画像。円で囲まれている部分が膵臓です。

新しい膵臓手術とは

 膵臓の手術は今でも開腹手術が基本です(2020年10月現在)。しかし、病気の種類や腫瘍の大きさ、位置などの条件が整えばより負担の少ない手術法を選択できることがあります。それは腹腔鏡下手術とロボット手術です。

いずれの手術もおなかを小さく切り開き、そこから手術器具を挿入して手術操作を行うものです。開腹手術との一番大きな違いは、手術の傷の大きさです。大きな傷が一つあるよりも、小さな傷がいくつかあるほうが、傷の痛みが少ないといわれています。早期の社会復帰もしやすいです。

開腹手術と腹腔鏡手術の傷の大きさを比較すると、腹腔鏡手術のほうが小さな傷であることがわかります。ロボット手術においても、ほぼ同じような傷の大きさになります。

腹腔鏡下手術とロボット手術の違いとはなんでしょうか。腹腔鏡下手術は小さな傷からおなかの中に入れた手術器具を、外科医が直接動かして行う手術です。手術器具自体は直線的なものなので、動かす方向によっては不自由さが強いものになります。それが手術を難しくする主な理由です。この欠点を補うものとしてロボット手術があります。ロボット手術では自由にまがる関節機能をもった手術器具をおなかの中に挿入して、外科医が遠隔操作して手術を行います。

ロボット手術の手術器具は、腹腔鏡下手術と比較すると、より細かく自由に動くため繊細な手術が可能です。また、手ぶれ補正装置もついているので、手ぶれの心配もありません。ロボット膵臓手術は2020年に岡山県では最初に当院で導入しました。

膵臓の手術をしないですむのであれば、それが最もよいことです。病気の予防および早期発見が大事なことは言うまでもありません。しかし、病気が見つかっても決してあきらめないでください。当院では病気をしっかり治すだけではなく、より負担の少ない治療法が可能となるように努力しています。お気軽になんでもご相談ください。

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