ひざにやさしいカラダづくり〜体重管理と骨の栄養の大切さ〜

ひざに痛みを感じるようになると、外出や運動を控えがちになります。
すると体重が増え、その分ひざへの負担も大きくなって、さらに痛みが強くなる――。
そんな悪循環に陥ってしまう方は少なくありません。

ひざの治療というと、運動やリハビリに注目が集まりますが、実は日々の食事や体重管理も、ひざの負担を軽くするための大切な要素です。

この記事では、毎日の食事で無理なく体重管理ができる工夫をお伝えします。

膝に痛みを感じるシニアのイメージ写真

体重が増えると、ひざへの負担はどのくらい増える?

体重が1kg増えると、歩くときにはひざに約3倍、階段の上り下りでは約4〜5倍の負担がかかるといわれています。
たった1kgと思われるかもしれませんが、ひざは想像以上の負担を受けているのです。

逆に考えると、体重を減らすことで、ひざにかかる負担は確実に軽くなります。
体重を5kg減らすと、歩くときで約15kg分、階段では20〜25kg分の負担が軽減されます。

体重を減らすと、ひざの痛みを和らげ、日常生活を続けていくための土台になります。
ひざの健康を守るには、体重管理が大切」ということです。

まずは「1か月で1kg減」を目標に、食事の工夫からから始めてみませんか

減量というと、つい大きな目標を立ててしまいがちです。
まずは、1か月で1kg減を目標にしてみてはいかがでしょうか。

体脂肪1kgには約7,000kcalのエネルギーが含まれています。
これを1か月で減らすには、1日あたり約240kcalを見直せばよい計算になります。

240kcalを運動で消費しようとすると、体重60kgの人の場合では、ランニングで30分、散歩だと1時間以上が必要になります。
ひざに痛みがある方にとって、この運動量を毎日こなすことは負担になりかねません。

食事では240kcalは、ご飯なら約1杯分、どら焼き約1個分、炭酸飲料なら約1本分に相当します。
エネルギー源として大切なご飯は適量を保ちながら、間食や飲み物を減らすことが、無理のない減量につながります。

カットされたどら焼きのイメージ写真

食べ方を変えるだけでも効果があります

食事をすると、消化・吸収の過程でエネルギーが使われます。これを「食事誘発性熱産生(DIT:Diet Induced Thermogenesis)」といい、摂取したエネルギーの約10%が消費されるといわれています。

また、よく噛んでゆっくり食べることで、このエネルギー消費は高まり、食べ過ぎの防止にもつながります。
特別な工夫はなく、「ゆっくり」「よく噛む」ことを意識するだけでも十分です。

体重を減らすときこそ、筋肉を意識した食事を

体重を減らすときに、筋肉が減ってしまうと、ひざを支える力が弱くなってしまいます。

筋肉を維持するためには、たんぱく質の摂取と運動が欠かせません。
特に高齢になると、筋肉を合成能力が低下するため、若い頃よりもたんぱく質を意識する必要があります。

たんぱく質は、毎食20g程度を目安に摂ることが望ましいとされています。
特に朝食は不足しやすいため、卵や牛乳、チーズなどを今の食事に一品プラスすることから始めてみましょう。

ゆっくり食事をとる人物のイメージ写真

ひざの健康を支える「骨の栄養」

骨のために欠かせないカルシウム

骨の栄養というと、まずカルシウムを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。カルシウムは、骨や歯を作るために欠かせない栄養素です。

しかし、日本人の食生活では、多くの年代でカルシウムが不足しがちであることが分かっています。
特に働き盛り世代から高齢期にかけては、牛乳コップ1杯分程度のカルシウムが足りていないとされています。

カルシウムは、

  • 牛乳・ヨーグルトなどの乳製品
  • 豆腐や大豆製品
  • 小魚やさばの水煮缶
  • 小松菜や水菜などの野菜

などに多く含まれています。
乳製品が苦手な方は、これらを組み合わせて取り入れることも大切です。

カルシウムが含まれる食品のイメージ図
カルシウムは「一緒に摂る栄養」も大切

カルシウムは、摂る量だけでなく吸収されることが重要です。
そのためには、

  • ビタミンD(カルシウムの吸収を助ける)
  • ビタミンK(カルシウムを骨に定着させる)

といった栄養素を一緒に摂る必要があります。

ビタミンDは、魚類やきのこ類に多く含まれ、日光を浴びることで体内でも作られます。朝にカーテンを開けて日光を浴びる、外に出て少し歩くといった習慣も役立ちます。

ビタミンKは、納豆や海藻、緑黄色野菜などに多く含まれています。

インスタント食品や加工食品、アルコールやカフェインの摂り過ぎは、カルシウムの吸収を妨げることがあるため、摂り過ぎには注意が必要です。

骨の健康は、特別な食品だけで作られるものではありません。
毎日の食事の積み重ねが、ひざを支える骨の力につながっていきます。

カルシウムと一緒にビタミンD・ビタミンKを接種すると、効率よく骨に吸収されます

毎日の積み重ねが、これからの歩く力につながります

ひざの痛みと上手につき合うために、特別なことをする必要はありません。

  • 1か月1kg減を目標に、1日240kcal減らしましょう
  • 無理をせず、運動と食事を整えましょう
  • ゆっくりよく噛み、たんぱく質と骨の栄養を意識する

これらのことを意識して、生活してみましょう。

日々の食事と体重管理を少し意識することが、この先も自分の足で歩き続けるための体づくりにつながります。
無理のない工夫をひとつ選んで、今日からひざにやさしい体づくりを始めてみませんか。

散歩をする元気なシニアのイメージ写真

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この記事を書いた人

小野 真由子(おの まゆこ)


所属

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管理栄養士

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