がんゲノム医療について

ゲノム医療とは

細胞には核がありますが、その中には生命をつかさどる情報であるゲノムが入っています。ゲノムの中の遺伝子について調べる技術が、近年私たちの医療にも応用されるようになってきました。 がんゲノム医療とは、がん細胞の遺伝子の傷(変異)を調べ、効果が高そうな抗がん剤を選択するために用いる医療技術であり、患者さん一人ひとりの体質や病状に合わせたオーダーメイド医療を提供する「個別化医療(personalized medicine)」の一つです。手術や生体検査のがん組織から「次世代シークエンサー」という装置を用いて大量のゲノム情報を解析し、治療につなげます。

がんゲノム医療の目的

がんゲノム医療の目的は、がん遺伝子パネル検査(がん遺伝子プロファイリング検査ともいいます)で遺伝子変異を調べて、「分子標的薬」と呼ばれる抗がん剤の候補薬を見つけることです。パネル検査とは、がん(腫瘍細胞)の遺伝子を一括で調べるものです。見つかる薬の多くは治験薬などの保険適応のない薬です。対象となる患者さんは、遠隔転移のため抗がん剤治療を受けており、標準治療が終了した患者さん、もしくは終了が見込まれる患者さん、標準治療がないがんと診断された患者さんです。現在3種類のがん遺伝子パネル検査が保険適応とされています。

期待される効果

がんゲノム医療により、全身状態が良好である患者さんに治験などの治療選択肢を提供することができます。しかし、がんゲノム医療には限界があります。検査で遺伝子変異が見つからない場合や、遺伝子変異があっても使用できる薬がない場合もあるため、実際に次の治療を開始できた患者さんは約1割と報告されています。この割合は今後改善され、増えてゆくことが期待されます。

検査後の治療方法

治療を受けるには治験、先進医療、患者申出療養制度の利用、自費診療などが考えられます。

がん遺伝子パネル検査の流れと必要な費用

検査に用いる検体はがん組織のもつDNAの情報が正確に保たれている必要があるため、3年以内の手術検体(もしくは生検検体)である必要があります。また、対象となる患者さんは全身状態が良好で、重要な臓器の機能が保たれている必要があります。そして検体を提出する時と、検査の結果の説明時には入院をしていないため、外来を受診する必要があります。 検査によって低い確率で遺伝性腫瘍に関わる遺伝子変異が見つかることもあるため、遺伝性腫瘍カウンセリングを受けることをお勧めすることがあります。
がん遺伝子パネル検査のみの医療費は、56万円かかりますが、保険適応がありますので、患者負担が3割の場合は16万8千円になります。 このほか受診費や検体の準備などの費用が追加で必要となります。事前にこれらのことについて説明を受けご理解いただいたのちに検査を申し込みます。解析された遺伝子のデータは匿名化されてC-CAT(国立研究開発法人国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター)というデータベースに登録されます。

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