腎不全の治療選択について

日本の慢性腎臓病(CKD)患者さんは成人の8人の1人ともいわれ、透析患者さんは30万人を超えました。腎不全と診断され、透析が必要と医師から告げられると、非常に大きなショックとともに不安にかられます。しかし、透析は、腎臓の代わりに体調を整え、これから充実した生活を支える治療です。多くの透析患者さんが、仕事を続け、旅行や趣味など日常生活を活き活きと過ごしておられます。また、機会があれば移植を受けることで、さらに自由な生活を送ることが可能です。

今回は、腎不全の治療の選択肢(血液透析・腹膜透析・移植)についてご紹介します。

※患者さんによっては、透析療法を行うことやその準備の手術が、かえってご本人の身体に負担をかける可能性が高い場合もあり、これらのことから透析療法を行わずに病気の経過を見ていこうという選択をされる方もいらっしゃいます。

腎不全の治療選択について

腎不全の治療には、大きく分けて「透析治療」と「腎臓移植」があります。
病状や体調、体質、残っている腎臓の機能を守るなど医学的な事柄に加えて、生活スタイルや年齢・生活環境なども含め、どの治療方法が自分に合っているのか、どの方法でよりよい体調が保てるのか、医師や看護師、家族とよく相談し、治療を決定されることをおすすめします。

血液透析(HD)

腕の血管にシャント(血液がたくさん流れる太い血管)を造り、その血管に針を刺し、ポンプを使って血液を身体の外に取りだし、ダイアライザーと呼ばれる透析器を通すことによって、血液中の余分な水分や老廃物を取り除き血液をきれいにし、再び身体に戻します。 通常、週3回ほど医療機関に通って治療(1回約4時間)を行います。

血液透析
腹膜透析(PD)

手術によりおなかの中と外をつなぐ管(カテーテル)を埋め込みます。そこから透析液を注入し、血液中の老廃物・水分・塩分を透析液に移動させます。その後、汚れた透析液を体外に出すことで血液をきれいにします。腹膜透析液の交換は約6時間おきに20分ほどかけて手動で行う方法と、機械を用いて夜中などに自動的に行う方法があります。

腹膜透析
腎臓移植

腎臓移植は慢性腎不全の唯一の根治的治療であり、これが成功すれば免疫抑制剤を飲む以外は普通の人と同じ生活をすることができます。

献腎移植

事前に日本臓器移植ネットワークに登録をしておく必要があります。日本では、献腎移植希望者に比べて死体腎の提供数が少ないことが現状です。臓器の提供があると、血液型一致や白血球の型の適合、登録期間などを点数化しポイントの高い順に提供を受ける人が選ばれます。

生体腎移植

日本では、献腎移植が少ないことから、親・子・兄弟などの血縁者、または配偶者などからふたつある腎臓の1個を取り出して、腎不全患者さんに移植します。家族による腎臓提供は、あくまで自発的な善意に基づくものです。

腎不全の治療選択が必要な方へ

治療法を決めるにあたり、不安なことや心配ごとが多々あるかと思います。
看護専門外来(腎臓病看護外来)では「腎臓の機能が低下しているので将来的に透析が必要」という患者さんお一人おひとりの「生き方」として適切な方法を選べるよう、お手伝いもさせていただいています。
また、腎臓の機能を保護するための療養生活も一緒に考えています。まずは主治医の先生へご相談ください。

透析看護認定看護師が透析治療について、ぬいぐるみを用いながらわかりやすく説明します

※本記事は広報誌「やわらぎ」143号(2016秋号)に掲載したものをWEB用に再編集したものです。

この記事を書いた人

大脇 浩香おおわき ひろか


所属

資格

  • 透析看護認定看護師

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岡山済生会総合病院 / 岡山済生会外来センター病院

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