アレルゲン舌下免疫療法

アレルゲン舌下免疫療法とは、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を舌下(舌の下)に入れて、アレルギー反応を抑制する免疫力を身体の中に誘導させる治療です。つまり身体をアレルゲンに対して強くする治療といえます。このアレルゲン舌下免疫療法は従来から行われてきた皮下(注射の)での免疫療法に比べて格段に副作用が少なく、効果もほぼ同等といわれるようになってきています。2018年3月からは年齢制限なく幼児から開始できるようになりました。現在のところ鼻炎の適応のみで、スギとダニの2種類の免疫療法が使用可能です。新たなアレルゲン感作(かんさ)が増えにくい効果や、喘息の発症を予防する効果など、今後の小児のアレルギー疾患の進展を防止できるのではないかと期待しています。

食物アレルギーの診療では必要最小限の除去食が勧められており、最近では少量の食品を赤ちゃんの頃から少しずつ食べさせて、食物アレルギーにならないようにしていこうという流れがあります。これはいわゆる経口免疫療法(食べることで腸に免疫をつけていく治療)です。

小児喘息治療においても、症状のコントロールを目的に、炎症をおさえる治療を積極的に導入し、喘息の発作で夜に眠れない子どもを減らそうと努めてきました。呼吸機能や気道のただれの程度をみる検査(呼気中の一酸化窒素)などをもとに、きめ細やかな喘息のコントロールを行います。現在では、治りにくい喘息の治療に生物学的製剤(抗IgE抗体製剤、抗IL-5抗体製剤など)を応用できるようになってきています。また、小児喘息を持つ子どもたちは鼻炎を合併していることが多く、アレルゲン舌下免疫療法を幼少期から行うことで、鼻炎への効果や薬の減量、さらにはスギやダニのアレルギーが進行するのをおさえることで、喘息の発症の抑制や喘息への直接の治療効果があるのか、今後非常に興味が持たれるところです。

小児へのアレルゲン舌下免疫療法は今まさに始まったばかりです。ワクチン同様、子どもの時からの治療で、成人までアレルギー疾患を持ち越さないようにできればと考えています。

感作…繰り返される刺激により、それに対する反応が増大していくこと

アレルゲン舌下免疫治療法のメカニズム ・リンパ節→全身のリンパへ指令 咽頭扁桃(いんとうへんとう)、アレルゲン舌下錠、樹状細胞、口蓋扁桃(こうがいへんとう)、舌扁桃(ぜつへんとう)、頸部リンパ節(けいぶ) 抑制系の免疫誘導によって症状が抑えられる。

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