幅広い術式に対応したロボット支援手術

手術支援ロボットDa Vinci Xiの導入から5年。
現在では、上部・下部消化器、肝胆膵、呼吸器、婦人科、泌尿器の6領域のがん治療に対応し、累計症例数は2024年度末に540例に達しました。
専門医による丁寧かつ的確な診療と、ロボット技術を融合し、患者さんに最適な治療を提供できるよう、これからも挑戦を続けてまいります。
肝胆膵外科 児島 亨(診療部長)
肝胆膵外科領域の手術は、血管の解剖も複雑で難易度の高い手術が多い領域です。そのため出血量も増加しやすく、重度の合併症を発症するリスクもあります。そういった難易度の高い肝胆膵外科領域に対しても、当院では早期より肝胆膵外科領域に対して腹腔鏡下手術を導入し、経験症例を蓄積してきました。
その豊富な経験をもとに、ロボット支援下肝胆膵外科手術を岡山県で最初に導入し、地域の皆様に提供してまいりました。精緻な操作が可能なロボットの導入により、低侵襲手術の適応がさらに広がり、より身体に負担の少ない手術が可能となる患者さんが増えてきました。
当院では今後も安全性に十分配慮しつつ、ロボット肝胆膵手術を進めてまいりますので、ぜひご相談ください。

下部消化管外科 大谷 剛(診療部長)
ロボット支援大腸がん手術は、精密な操作が可能な手術支援ロボットを用いて行う低侵襲手術です。高精細の3D画像で拡大して観察しながら、ロボットアームの先端に多関節の鉗子やハサミを装着して手術操作を行います。手振れのない、非常に繊細な動きでがんの切除が可能となり、従来の腹腔鏡手術と比べて出血や合併症のリスクが低く、患者さんの早期回復が期待できます。
直腸がん手術では、骨盤内の狭い空間でも高精度な操作が可能なロボット技術を活用し、神経を温存しながらがんを切除します。手術支援ロボットの導入は、肛門近傍の直腸がんにおいて永久の人工肛門を回避し肛門を温存した手術において、安全性を高めることにつながり、排尿や性機能の温存が期待できます。


ロボット手術の変遷
2019年 | 10月 | 直腸がん 低位前方切除術 | 1症例目開始 |
2020年 | 1月 | 前立腺がん | 1症例目開始 |
8月 | 膵臓がん 膵体尾部切除術 | 1症例目開始 | |
2021年 | 3月 | 結腸がん | 1症例目開始 |
9月 | 肺がん | 1症例目開始 | |
11月 | 直腸がん | 50症例達成 | |
2022年 | 1月 | 膵臓がん 膵頭十二指腸切除術 | 1症例目開始 |
7月 | 前立腺がん | 50症例達成 | |
12月 | 肝臓がん | 1症例目開始 | |
2023年 | 1月 | 累計200症例達成 | |
4月 | 胃がん | 1症例目開始 | |
6月 | 直腸がん | 100症例達成 | |
2024年 | 3月 | 肺がん | 50症例達成 |
6月 | 食道がん | 1症例目開始 | |
7月 | 前立腺がん | 100症例達成 | |
12月 | 子宮がん | 1症例目開始 | |
2025年 | 1月 | 累計500症例達成 | |
3月 | 胃がん | 50症例達成 |
領域別ロボット支援下手術合計件数
上部消化管外科 | 胃がん | 54例 |
食道がん | 8例 | |
下部消化管外科 | 直腸がん | 149例 |
結腸がん | 40例 | |
肝胆膵外科 | 肝臓がん | 44例 |
膵体尾部がん | 35例 | |
膵頭十二指腸がん | 14例 | |
呼吸器外科 | 肺がん | 71例 |
婦人科 | 子宮がん | 6例 |
泌尿器科 | 前立腺がん | 119例 |
2019~2024年度 累計 | 540例 |