なでしこプラン(生活困窮者支援事業)

なでしこプラン(生活困窮者支援事業)

済生会は、生活困窮者を医療で救済する「施薬救療」を目的として発足しました。その目的を果たす制度が、無料低額診療事業となでしこプランです。
なでしこプランはホームレス、家庭内暴力被害者、刑務所出所者、失業者、外国人など医療・福祉サービスのアクセスできない人たちを対象に、必要な医療につなげる支援や医療提供を行うものです。

当院では、支部岡山県済生会、吉備病院、昭和町診療所と協力して、「NPO法人 きずな」と連携して、ホームレスの炊き出しの日に合わせて、毎月健康相談を行います。

また、岡山市にある更生保護施設「古松園」で2か月に1回、津山市にある更生保護施設「美作自修会」で年に1回、健康相談を実施しています。 
健康相談の結果、医療の必要な方には受診を促し、生計困難な方には無料低額診療事業による医療提供を行います。

また、被虐待児医療支援事業として、岡山県児童相談所、岡山市子ども総合相談所等から受診相談を受けた児童を対象に必要な医療の提供を行います。
当院は児童福祉法に基づく助産施設として、経済的理由により必要な入院助産を受けることができない妊産婦の受け入れをしています。出産・育児支援事業として生活困窮者等の出産・育児にリスクのある「要養育支援者」に対して、児童相談所、福祉事務所、保健センター等と産前から連携して母子を孤立させない子育てサポートづくりを支援しています。

今後も岡山済生会総合病院では、離島・へき地医療、救急医療とともに、無料低額診療事業やなでしこプランの展開により、ソーシャルインクルージョンの実現に努めていきます。

無料健康相談を行いました(2019年7月27日開催)【やわらぎ161号 2019年秋号】

岡山県済生会のなでしこプラン・地域貢献活動のご紹介

岡山県済生会では孤立社会や貧困問題の解決を目指し、なでしこプランだけでなく医療・福祉サービスが届きづらい方々に寄り添ったさまざまな支援を行っています。
下記にこれらの活動の一部をご紹介します。

離島や中山間地域への巡回診療

笠岡市・岡山市・玉野市・備前市の島々や県北部などの中山間地域では、高齢化や移動のための交通手段の減少により遠方の医療機関へ赴くことが困難となっているケースがあります。そのような地域に瀬戸内巡回診療船 済生丸や移動検診車にて医療スタッフが定期的に伺い健康状態を確認することで、日々の安心の暮らしにつなげています。

生活困窮者への無料健康相談

生活に困窮している方にとっては、自身の健康問題は後回しになりがちです。そのような方々への支援として「NPO法人岡山きずな」と連携し、毎月の炊き出しの日にあわせて当院の医療スタッフが無料の健康相談を実施しています。この相談会をきっかけとして健康上のアドバイスを行ったり、医療の介入が必要とされる方には受診相談券を発行して無料低額診療を案内し、病気の早期発見・治療につなげています。

認知症予防と地域の交流の場の提供

岡山県済生会ライフケアセンターでは地域の方が気軽に立ち寄り、入居者、職員と楽しい時間を過ごすための居場所づくりとして、毎月第1、第3金曜日の午後に「コミュニティーカフェ なでしこ」を開催しています。 お茶を飲みながらおしゃべりやレクリェーションを楽しんだり、健康体操で体を動かしています。 また専門職による健康や社会資源の活用に関する相談や認知症サポーター養成講座を開催し、認知症についての理解を深め、地域で支える活動に取り組んでいます。

公共交通空白地域での生活バスの運行

岡山市の郊外にある足守地区は過疎・高齢化が進み、高齢化率は、41.0%となっています(2021年12月現在)。平成16年に地区の唯一の公共交通機関である民間バスの路線廃止に伴い小学校児童の通学が困難となり、岡山市から無償輸送の依頼を受けて岡山県済生会グループである「特別養護老人ホーム憩いの丘」が地域の強いニーズに答えて協力することとなりました。その後、公共交通空白地有償運送事業(足守地区生活バス)を開始し、どこでも乗降可能なフリー乗降の地域バスとして運行しています。 また同時に、バス停まで自力で出られない方や体の不自由な方のために、福祉有償運送事業を開始しました。この事業を通じて高齢者や障害者の自立支援および孤立防止にも取り組んでいます。


※岡山県済生会が実施する「なでしこプラン」事業の一部を紹介する動画を作成しました。
ぜひご覧ください。