せん妄対策・認知症ケアチーム
チームの目的と活動状況
総合病院入院患者さんの高齢化に伴い、せん妄および認知症の行動心理症状(BPSD)対策が求められています。当院では、高齢の入院患者さんが安全に身体加療を受け、元の環境に退院できるよう、せん妄対策・認知症ケアチームが院内で活動しています。 高齢者が身体疾患で入院すると、せん妄とBPSDは高い確率で起こり、転倒、転落、チューブ類の自己抜去などのリスクが高まり、入院期間の延長、認知症の悪化、ADLの低下などにつながるといわれています。
せん妄
せん妄に対しては、リスク薬の院内周知と入院後の薬剤変更、不眠時・不穏時薬の選択肢整理、身体抑制の適切な見直しなどを行い、せん妄の発症予防、早期改善に努めています。
<当院のせん妄ハイリスク薬一覧表>
種類 |
主な薬剤 |
代替薬や対策 |
ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬 |
ブロチゾラム、エチゾラム、ハルシオン®など |
ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬を漸減・中止。トラゾドンまたはベルソムラに置換。対応困難の場合、心療科へコンサルト。 |
非ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬 |
ゾピクロン、ゾルピデム |
非ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬を漸減・中止。トラゾドンまたはベルソムラを併用。対応困難の場合、心療科へコンサルト。 |
3環系抗うつ薬 |
トリプタノール®、アナフラニール®、 ノリトレン®、テシプール® |
抗うつ剤として使用している場合、他の抗うつ薬へと変更を考慮。疼痛対応に使用している場合、漸減・中止。 |
ヒスタミンH2受容体遮断薬 |
ガスター®、シメチジン、アルタット®など |
PPIへ変更。 |
抗ヒスタミン薬 |
ポララミン®、セレスタミン®など |
抗ヒスタミン薬の減量・中止もしくは他剤への変更を検討。 |
抗コリン薬 |
ベシケア、アトロピン、ブスコパン®など |
抗コリン薬の減量・中止もしくは他剤への変更を検討。 |
オピオイド |
モルヒネ、オキシコンチン®、フェンタニルなど |
専門医によるオピオイドの再調整。 |
抗パーキンソン病薬 |
ドパコール®、ドパストン®、アキネトン®など |
専門医による抗パーキンソン剤の再調整。 |
ステロイド |
プレドニン®、デカドロン®、リンデロン®など |
専門医によるステロイドの再調整。 |
抗てんかん薬 |
デパケン®、テグレトール®、フェニトイン®、アレビアチン |
専門医による抗てんかん薬の再調整。 |
BPSD
認知症のある患者さんが入院されると、失見当識、睡眠リズムの乱れ、混乱、不安などからチューブ類の自己抜去、徘徊、転倒、拒食などにつながります。認知症ケアの技術を活用した対応の工夫、投薬調整、身体的ケアの工夫などを入院病棟と検討して対応しています。