令和3年度 新人看護職員研修
令和3年となり、新人看護職員研修は12年目となります。研修には、主任看護師、臨床指導者、中堅看護師、認定看護師、専門看護師そして病院の職員全員で関わります。入職された皆さんを看護師として、仲間として、大事に大切に育てていきたいと思います。
当院の看護師さんは「やさしい」とよく聞きます。看護部理念にも、「思いやり」の言葉が謳われています。新人看護職員研修では、看護技術だけでなく、「思いやり」の風土も伝えています。
4月の新人看護師研修(教育委員会・主任会主催)
4月2・5・6日 | 看護部オリエンテーション |
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4月5・6日 | 安全で安楽なトランスファ―テクニックを学ぶ |
4月7日 | 技術演習(主任会主催) |
- 「看護部オリエンテーション」では、看護部の理念から始まり、患者サポートセンター、中央材料室、検査科、画像診断科、栄養科など関わりの深い各部門の方にお願いして、多岐にわたって3日間かけてオリエンテーションを行いました。「社会人としての心構えを学ぶことができた」「臨床に行く前に必要な知識を身につけることができた」「資料スライドが見やすかった」「これから行う業務内容を知ることができてよかった」などの感想が聞かれました。患者さんのためにチームの一員として協働するには、基本的なルールを守ることが大切だとわかってもらえたのではないかと思います。また、内容が具体的だったので、今後の業務に活かしてもらえるのではないかと思います。
5月の新人看護師研修(教育委員会主催)
5月7日 | 4月の評価と5・6月の目標設定 悩み語ろう会 血流感染・尿路感染予防 水飲みテストの方法 |
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5月13日 | 看護診断 重症度、医療・看護必要度 輸血療法について |
5月14日 | 医療用ポンプの正しい使い方(輸液ポンプ) |
5月18日 | 転倒転落防止 薬の知識(内服薬・注射薬) |
- 「4月の評価と5・6月の目標設定」「悩みを語ろう会」を行いました。就職してちょうどひと月ほど経ち、心身ともに疲れが出てくる時期です。本来であれば仲間どうしで集まって仕事終わりに情報交換やおしゃべりなどの時間が持てるはずですが、昨年度からさまざまな面で自粛を続けています。研修時のわずかな時間でも、仲間と集い悩みを打ち明けられる機会は、貴重な時間となったのではないかと思います。ストレス度の高い人もいますが、プリセプターや上司、患者さんからのお褒めの言葉や承認の言葉に充実感を感じながら頑張っているようです。
- 「水飲みテスト」では、「実際に実践するときに安心して行える」「よい例だけでなく悪い例を学ぶことで今後に活かしていけると思う」という意見が聞かれました。
- 「血流感染・尿路感染予防」の研修は、人形モデルを使用したり、お互いに血管確保のモデルになったりして実践的に学びます。「患者さんの苦痛を考えて行う必要があると思った」「患者さんに感染させないという意識を持つことが大切だと思った」「自分が感染源にならないよう意識していこうと思った」といった感想がありました。
- 「看護診断」では、「実際の事例を基にグループワークをしたり、講義で診断の説明があったりしてわかりやすかった」「診断を出すのに正解はないので、情報収集、アセスメントをしっかりして診断していきたい」「根拠を大切にして看護診断を立てたいと思った」などの声が聞かれました。
- 「重症度、医療・看護必要度」では、「DVDを観て必要度を考えたことで、イメージが強く湧き理解が深まった」「他人が見てもわかるような記録が書けるように頑張っていきたい」「定義を理解し、しっかり実践に活かしていきたい」などの意見がありました。
- 「輸血療法」では、「重要な点がわかりやすかった」「資料を見返し、メモにまとめてすぐに活用できるようにしたい」などの意見がありました。
- 「医療用ポンプの正しい使い方」では、今年度もハンズオンの研修がよかったという意見が多数聞かれました。
「転倒転落防止対策」「薬の基礎知識」の研修は、当院の看護師だけでなく吉備病院の看護師、検査科やCE、薬剤科の新人も参加しました。医療安全の観点での注意点がよくわかったという意見が多かったです。
6月の新人看護師研修(教育委員会・主任会主催)
6月11日 | 夜勤導入研修 医療用ポンプの正しい使い方(シリンジポンプ) |
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6月21日 | インスリン療法について |
- 「夜勤導入研修」は、主任会主催の研修です。シミュレーションラボ室を使ってロールプレイングを交えながら行います。「主任さんの視点を自分たちと比較し、足りない部分を知ることができた」「一つ一つの行動の根拠を説明しながら行ってくれたのでわかりやすかった」といった意見が聞かれました。実際の勤務ではすでに夜勤も経験していますが、経験した上での演習はイメージしやすく理解が深まったようです。
- 「医療用ポンプの正しい使い方(シリンジポンプ)」では「機械を怖がらずに触れるようになりたい」「機械操作に苦手意識があったので、ハンズオンできて勉強になった」といったハンズオンの研修がよかったという意見が多く聞かれました。
- 「インスリン療法」研修では、「既往に糖尿病をもった患者は多いため、実際に活かしていきたい」「それぞれの薬剤によって投与する時間などが異なるため、作用などきちんと理解し薬剤投与を行いたい」「臨床の場で役立つ内容だった」などの意見が聞かれました。
7月の新人看護師研修
7月6日 | 悩み語ろう会 3か月後の評価 |
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- 7月は「悩み語ろう会」を開催しました。入職後3か月が経過し、職場環境に慣れてくる反面、他者との差に悩んだり自己嫌悪に陥ったりする時期です。心身ともに疲れが蓄積してくる時期でもあり、ストレス度が高くなっている人もいます。部署を離れて同期で集まる機会は気持ちをリセットさせ、また頑張ろうという意欲につながったのではないかと思います。
8月の新人看護師研修
8月19日 | フィジカルアセスメント |
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8月25日 | 薬物療法を生かした糖尿病看護 がん化学療法の基礎知識 退院支援について |
- 「フィジカルアセスメント」は、認定看護師による講義です。「腹部・中枢神経・呼吸器・循環器に分かれてそれぞれSBARの演習をしたが、それぞれが独立しているのではなくつながって(関連して)いることがわかった」「緊急時の対応など、SBARを使いどう伝えたらよいか、とてもわかりやすかったです」など苦手だったが、よく理解できたという意見が多かったです。
- 「がん化学療法の基礎知識」では、「化学療法を行う患者さんの思いを知り、化学療法を行っていくことが大切だとわかった」「化学療法の基本的な知識や流れを学ぶことができた」「抗がん剤の種類や副作用を理解して、患者さんの気持ちに寄り添うことが大切だと思った」という意見がありました。
- 「退院支援について」では、「患者さんや家族、家庭の状況に合わせた支援を早い段階から行うことが大切だと思った」「相談しやすい環境づくりが大切だと思った」「患者さんや家族が納得して退院できるよう支援していきたいと思った」という意見が聞かれました。
入職して5か月。少しずつ経験を重ねながら研修でも学びを深めていっています。そういった中で、患者さんや家族のためにどうしたらよいか考えて関わらなければいけないという意見が聞かれるようになりました。
9月の新人看護師研修
9月2日 | がん疼痛看護(麻薬含む)看取りのケアの実際 6か月の振り返りと評価 急変時に対応できる基礎知識(講義) |
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9月3日 | 急変時に対応できる基礎知識(演習) |
9月7日 | KYT研修 |
9月29日 | 皮膚・排泄ケア ME機器を正しく使う(メラサキューム) 口腔ケア・経管栄養 倫理的観点(胃瘻・CVの是非から考える) |
9月の研修は実践に即した内容や、倫理的な観点など多岐にわたる内容で参加者からは高評価でした。
- 「がん疼痛看護(麻薬含む)看取りのケアの実際」では、「看取りのがん患者さんと関わる際にはその人の思いや希望をしっかり傾聴し、どのように今後過ごしていきたいかなどを把握した上でケアを行っていくことが重要であるということがわかりました」「がん疼痛を訴える患者さんに必要な援助の視点が明確になりました」「今後病棟で働くうえでとても大切なことばかりでした」といった意見が聞かれました。入職して半年、まだまだ患者さんの逝去の場面に立ち会った経験のある人は少ない中、貴重な研修となったようです。
- 「急変時に対応できる基礎知識」は、講義と演習を2日に分けて行いました。「実際の急変の場面に遭遇したことがなかったため、シミュレーションをしてイメージがわいた」「急変した時の流れについてよく理解できたが、実際に行うとなると緊張などでスムーズに行動できる自信はないので知識と経験を増やしていきたい」などの意見がありました。
- 「皮膚・排泄ケア」では、演習を交えての講義は理解しやすく、ドレーンの固定方法やテープの選択など臨床にすぐ活かせる内容が好評でした。
- 「ME機器を正しく使う(メラサキューム)」では、「あまり見る機会がない」人と「病棟でよく使用するので学ぶ機会があってよかった」という人がいました。どちらにしても「わかりやすい」研修だという意見が大半でした。
- 「口腔ケア・経管栄養」では、現場で実践していることの振り返りができたことと、今後のケアに活かせる内容だったことが高評価でした。
- 「倫理的観点(胃瘻・CVの是非から考える)」は、「いろいろな視点から考えることでさまざまな意見があるので、今後病棟でもしっかり傾聴して活かしていけたらいいと思った」「患者さんと関わる中で出会う倫理的なジレンマについてさまざまな人の意見を聞くことができて参考になった」など、久しぶりにしっかりと考えることができたという感想が多くありました。
11月の新人看護師研修
11月 2日間 | ローテーション研修 |
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11月24日 | 認知症ケア 透析患者の看護 |
11月のローテーション研修は、自部署で経験できない看護技術を学ぶために行います。派遣先は所属長と相談しながら研修生が決めます。約8割が希望どおりの部署での研修となりました。研修は内視鏡センターや救急センター、ICU、手術室などの特殊な部署にも行くことができます。 「未経験の技術項目を中心にさまざまな技術を実践することができた」「病棟では学ぶことのできない検査や看護について知ることができた」といった意見が聞かれました。得られるものが多い2日間であったようです。
- 「認知症ケア」では、「認知症の人の気持ちがわかったので対応に気をつけようと思った」「なぜそのような発言・行動をしているのかという理由を考え関わっていくことが大切であるということが印象に残った」といった意見が聞かれました。ロールプレイングやグループワークがあり、高齢患者さんへの対応について、より理解が深まった研修でした。
- 「透析患者の看護」では、「血液透析・腹膜透析の違いがわかりやすかった」「シャント造設の手術動画もありわかりやすかった」と、わかりやすい講義が好評でした。
3月の新人看護師研修
3月9日に1年間の研修の振り返りとして、「1年間の学び」について部署ごとに発表してもらいました。
全病棟の発表のあと、看護部長から一人ひとりに研修修了証が授与されました。
・1年かけて済生会のいろいろなことを知ることができてよかった。
・一つひとつ丁寧でわかりやすい研修だった。
・復習が追い付かない部分もあったが、実際に活用できた。研修資料を見直してさらに実践で役立てたい。
・それぞれの病棟の特色がよくわかった。みんなで1年間を乗り越えて、2年目に向けて頑張る!という意気込みが見え、いい修了式・研修になった。
・他の病棟の1年の振り返りを聞くことで、その科で何が学べるのかを知ることができて良かった。また、自分たちが病棟で学んだことを発表することで、改めて学んだことを振り返ることができた。
など、自分の部署だけでは学べなかったことを発表を聞いて知ることができた、振り返りができてよかったという意見が多数ありました。