令和2年度 新人看護職員研修
令和2年となり、新人看護職員研修は11年目となります。研修には、主任看護師、臨床指導者、中堅看護師、認定看護師、専門看護師そして病院の職員全員で関わります。入職された皆さんを看護師として、仲間として、大事に大切に育てていきたいと思います。
当院の看護師さんは「やさしい」とよく聞きます。看護部理念にも、「思いやり」の言葉が謳われています。新人看護職員研修では、看護技術だけでなく、「思いやり」の風土も伝えています。
4月の新人看護師研修
4月2・6・7日 | 看護部オリエンテーション |
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4月7・8日 | 安全で安楽なトランスファ―テクニックを学ぶ |
4月8日 | 技術演習(主任会主催) |
コロナ対策として3密を避けるために、広い会場を準備し、換気を十分に行いながら研修を行っています。
- 「看護部オリエンテーション」では、看護部の理念から始まり、患者サポートセンター、中央材料室、検査科、画像診断科、栄養科など関わりの深い各部門の方にお願いして、ルールを中心に3日間かけてオリエンテーションを行いました。「全般的にとても分かりやすかった」「覚えなければならないことが多いので、その場で理解できていても実際の場ではわからなくなりそう。今回の資料やオリエンテーションの内容を病棟での実践に繋げて、ひとつずつ確実にできることを増やしていきたい」「もう少し参加型の講義や実物があればわかりやすいと思った」などの感想が聞かれました。患者さんのためにチームの一員として協働するには、基本的なルールを守ることが大切だとわかってもらえたのではないかと思います。また、内容が具体的だったので、不安軽減にもつながったと思います。
- 「トランスファーテクニック」については、理学療法士に講師をお願いしました。「移乗の練習ができてよかった。自分が楽だと患者さんも楽ということがわかった」「車いすへの移乗は日々行うことなので少しでも安楽に行うことができる方法を学べて活かしていこうと思った」「今まで実施していたトランスファーテクニックよりも運動量や負荷が少なく楽にできた。理学療法士さんなど、専門の方と関わる研修はわからないことを尋ねることができ、すぐにアドバイスをもらえて吸収できることが多かった」と、実践的な指導を受けることで日常業務に直結させることができるという実感があったようです。3人の新人に1人のセラピストが指導に当たり、直接わからないことを聞けたり、指導してもらったりすることで疑問もすぐに解決され、満足度の高い研修となりました。
- 主任会が中心になって行う「技術演習」では、おむつ交換・口腔ケア・採血・血管確保の演習を行いました。「4月の早い時期に実践的な演習を行うことで実際の業務をイメージしやすい」「一人ずつ丁寧に教えてもらえた」といった肯定的な意見が多く聞かれました。学校での実習では体験できない項目もあり、好評であったと思います。
5月の新人看護師研修
5月8日 | 4月の評価と5・6月の目標設定 悩みを語ろう会 水飲みテスト |
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5月14日 | 看護診断 重症度、医療・看護必要度 輸血療法について |
5月15日 | 医療用ポンプの正しい使い方(輸液ポンプ) |
5月19日 | 転倒転落防止 薬の知識(内服薬・注射薬) |
- 「4月の評価と5・6月の目標設定」「悩みを語ろう会」では、「同じ病棟の同期と一緒に悩みや意見を交換することで、今後の先輩や患者さんとの関わり方を学ぶことができた」「話を共有することでストレスの軽減になるので、この場を増やしてほしい」「コロナで話せる機会がなかったので、こういう場があってよかったです」といった意見が聞かれました。就職してひと月ほど経ち、心身ともに疲れが出てくる時期です。普段であれば仲間同士集まって、仕事終わりに情報交換やおしゃべりなどの時間が持てるはずですが、さまざまな面で自粛を求められています。集合研修を実施する上でも開催回ごとに判断していますが、アンケート結果を見ると実施してよかったと感じました。
- 「水飲みテスト」は昨年度から始めた研修です。「実際にやってイメージがわいた」「食事をおいしく安全に食べていただけるよう、正しく水飲みテストを行えるようにしたい」「実施する際に習ったことを実践できるようにしたい」といった前向きな意見が多く聞かれました。
- 「看護診断」では、「看護診断に正解はなく、それぞれ問題を考え、患者さんにとってよりよい生活が送れるように介入する必要があるのだと学んだ」などの声が聞かれました。学生時代の復習と共に新たな学びとなったようです。
- 「重症度、医療・看護必要度」では、「改定後の内容について理解できた。日々の業務の中で活かしていきたい」「実際に動画を見ながらの講義はよかった」などの意見がありました。
- 「医療用ポンプの正しい使い方」では、ハンズオンの研修がよかったという意見が多数聞かれました。
- 「転倒転落防止対策」「薬の基礎知識」の研修は、看護部だけでなく、検査科やCE、薬剤科の新人も参加しました。医療安全の観点での注意点がよくわかったという意見が多かったです。
6月の新人看護師研修
6月12日 | 夜勤導入研修 医療用ポンプの正しい使い方(シリンジポンプ) |
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6月22日 | インスリン療法について |
6月26日 | 血流感染予防・尿路感染予防 |
- 「夜勤導入研修」は、主任会主催の研修です。「実際にシミュレーションをしてみてイメージしやすかった」「主任さんの実演のおかげでお手本となる姿を見ることができ、勉強になりました」といった意見が聞かれました。
- 「医療用ポンプの正しい使い方(シリンジポンプ)」では、「トラブルシューティングがあったので、アラームが鳴っても焦らずに対応できると思った」「実際に触ってみて操作法がよく分かった」といった、ハンズオンの研修がよかったという意見が多く聞かれました。
- 「インスリン療法」研修には、薬剤科の新人も参加しました。「講義がわかりやすかった」「糖尿病の患者さんはとても多いので、今後に活かしていきたい」「インスリンの種類をしっかり理解して処方監査を行おうと思う」などの意見が聞かれました。
- 「血流感染予防・尿路感染予防」では、感染の要となる手洗い研修も同日に行いました。「手洗いがきちんとできていないことがわかったので、次回から気をつけて行いたいと思った」「日頃から清潔・不潔区域を意識して取り組むことが大切だと学べた」などの意見がありました。すぐに実践に活かせる内容だったので、「もっと時間が欲しかった」という意見も聞かれ、皆熱心に、また楽しそうに演習をしていました。
7月の新人看護師研修
7月7日 | 悩み語ろう会 3か月後の評価 |
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- 「悩み語ろう会」を開催しました。「各病棟によって悩みは違うが、それぞれ悩みを持ちながら毎日頑張っていることがわかった」「改めてしんどいのは自分だけではないと思った」「自己分析が印象に残った」などの意見が聞かれました。就職して3か月が経過し、環境に慣れてくる反面、他者との差に悩んだり自己嫌悪に陥ったりする時期です。人によっては、かなりストレス度が高くなっています。部署を離れて同期で集まる機会は気持ちをリセットさせ、また頑張ろうという意欲に繋がったのではないかと思います。
8月の新人看護師研修
8月26日 | 薬物療法を活かした糖尿病看護 がん化学療法の基礎知識 退院支援について |
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- 「薬物療法を活かした糖尿病看護」では、「実際に体験して、患者さんの苦痛を知ることができてよかった。今後に繋がる学びになった」「インスリンにはいろいろな種類があるので、ポケットタイプの一覧をしっかり活用していきたい」といった意見が聞かれました。体験型の研修は満足度が高いです。
- 「がん化学療法の基礎知識」研修には、新人薬剤師も参加しました。「どんなことに気をつけないといけないか、よくわかった」「副作用をあらかじめ理解しておくことで、安全に化学療法を行い、継続できることがわかった」という意見がありました。
- 「退院支援について」では、「多職種で関わる必要性を理解できた」「多方面から支援するには毎日関わる看護師が問題点を見つけやすいと思うので、日頃からいろいろな視点で物事を見ることが大切だと思った」という意見が聞かれました。
- 就職して5か月。さまざまな体験を経て、改めて学んだ今回の研修内容は臨床の場で活かせる、というのが参加者の実感だと思います。
9月の新人看護師研修
9月3日 | がん疼痛看護(麻薬含む)看取りのケアの実際 6か月の振り返りと評価 急変時に対応できる基礎知識(講義) |
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9月4日 | 急変時に対応できる基礎知識(演習) |
9月8日 | KYT研修 |
9月9日 | フィジカルアセスメント |
9月30日 | 皮膚・排泄ケア ME機器を正しく使う(メラサキューム) 口腔ケア・経管栄養 倫理的観点(胃瘻・CVの是非から考える) |
9月は5回に渡って研修を開催しました。多岐にわたる内容で、参加者からは実践に活かせると高評価でした。
- 「KYT研修」には、今年度採用された臨床工学技士・栄養士・薬剤師などの新人も参加しました。「病棟の実際を知ることができてよかった」「他の職種の方と意見交換することで、自分では想像できなかった危険を予知することができた」「グループ内でさまざまな意見が出たので、自分とは違う考え方を知ることができた」などの意見が聞かれ、多職種の実情を知るよい機会になったと思います。
- 「がん疼痛看護(麻薬含む)」や「ME機器を正しく使う(メラサキューム)」では、配属部署によっては取り扱ったことのない人もいましたが、実際に使用する前に学習ができてよかったという前向きな意見が聞かれました。
- 「皮膚・排泄ケア」では、ドレーンの固定方法やテープの選択など、臨床ですぐに活かせる内容が好評でした。
11月の新人看護師研修
11月 2日間 | ローテーション研修 |
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11月25日 | 透析患者の看護 |
- 11月はローテーション研修を行いました。自部署では経験できない技術を学ぶために2日間行います。ローテーション先は所属長と相談しながら研修生が決めます。76%が希望どおりの部署での研修となりました。研修では内視鏡センターや救急センター、ICU、手術室などの特殊な部署にも行くことができます。
「未経験の技術項目を中心に、さまざまな技術を実践することができた」「病棟では学ぶことのできない検査や看護について知ることができた」といった意見が聞かれました。得られるものが多い2日間であったようです。 - 「透析患者の看護」では、「講義を聞いて今までよりも少し苦手意識が少なくなりました」「手術のこと、観察点や患者さんの思いがわかってよかった」といった意見があり、わかりやすいと好評でした。
2月の新人看護師研修
2月4日 | 認知症ケア |
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- 「認知症ケア」では、「対応の仕方や声かけを工夫して看護をしたい」「日々の看護に活かしたい」といった意見が聞かれました。高齢患者さんへの対応について悩んでいることを共有でき、日々の看護実践に繋がる内容でした。
3月の新人看護師研修
3月10日に、1年間の振り返りと評価として、「1年間の学びについて」を部署ごとに発表しました。
- 他部署の学びを聞いて尊敬するところがたくさんあった。
- 発表をとおして改めて学んだことを振り返ることができた。
- 1年をとおしてさまざまなことを学ぶことができて充実した年だった。研修で学んだことを今後に活かしていきたい。
- 常に向上心を持って、これからも頑張りたいと思った。
など、振り返りができてよかった、他部署の発表が聞けてよかったという意見が多数ありました。
当院では新採用者(医師以外)が左肩になでしこバッジを着けています。新人を職員全員で育てていこうという目的で始まりました。新人であることがひと目でわかるため、優しく丁寧に指導しています。
看護部では、3月の新人研修修了式の日になでしこバッジを返却してもらいます。今年度は3月10日に修了式が行われ、その日にバッジを返却してもらいました。
- バッジを着けていることで安心感があり、優しく接してくださる方が多かった。
- 見守られていると感じた。
- 車の初心者マークと同じで、着けることで安心感があった。
- 研修を修了したと同時にバッジを外したことで、来年度からはもう新人ではなくなるということを再度認識することができた。
など、なでしこバッジに関する感想がありました。周囲の理解を得られ、新人にも安心感を与えることができる制度であると思います。