喉頭がん

喉頭がんについて

頻度・性差・発がん要因

喉頭がんは、頭頚部がんの中で最も頻度が高く、わが国では年間約3000人が発病しており、人口10万当たり4人強の罹患率です。

男女比は9対1で、50歳以上の男性に多く、長年の喫煙がその発癌に深く関与していると考えられています。男女の喫煙率の差が少なくなってきている影響が、今後どのような結果となって現れるか興味のあるテーマであります。

世界的にみるとスペイン、フランス、イタリアなどの南ヨーロッパやウルグアイ、ブラジルなどの南アメリカ諸国に多く、わが国は、北欧諸国などとともに比較的低頻度国ではあります。

病型分類・進展度別分類

(1)病型

喉頭は、解剖学的には声帯を中心に声門上部、声門部および声門下部の3部分に分けられますが、声門がんが60%、声門上がんが30%、声門下がんが3%と、声門がんが最も多く、過半数を占め、声門上がんがそれに次ぎ、声門下がんは極めて少ないと報告されています。

声門がんは声帯に発生するため、初期から嗄声(声がれ)が出現し、また、声帯はリンパ流に乏しく、転移が生じにくいため他の部位に生じる喉頭がんに比べて予後が良好であります。

これに比べ、声門上癌、声門下癌は初期にはほとんど症状をあらわさず、しかも発生部位はリンパ流が豊富で早期に頚部リンパ節転移が起こり易く、声門癌に比べて予後が不良です。

(2)進展度

喉頭がんの進み具合を局所の腫瘍(T)、頚部リンパ節転移(N)、遠隔臓器転移(M)の三点から評価してTNM分類であらわしますが、T1N0、T2N0を早期がんとし、T3、T4あるいは、N1以上のものを進展がん、M1の如く遠隔転移のあるものを進行がんと表現します。

病理組織分類

病理組織検査では98.8%が扁平上皮がんで、腺がんなどその他のがんは極めて稀です。喫煙などの慢性刺激や加齢などで扁平上皮化成が起こり、扁平上皮がんが発生すると考えられています。腺がんと比較して放射線や抗がん剤に感受性が高いと考えられています。

治療

早期例には放射線治療が中心となります。そのほかには炭酸ガスレーザー手術や喉頭部分切除術も行われます。いずれも治療後、発声機能を保存することに主眼が置かれています。

進展例では喉頭全摘術などの手術治療が中心となり、さらに、放射線療法や化学療法が併用されます。頚部リンパ節転移が認められたり、疑われる場合は頚部郭清術が併用されます。原則として発声機能が失われるため、術後は人工喉頭、電気喉頭、食道発声などで音声の再獲得がはかられます。

参考文献

斎藤龍介、前田学、中川文夫 他:当科における喉頭癌の遠隔成績.耳鼻臨牀89:987~993,1996.

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