乳房再建(乳がん切除後の再建)

乳がん患者の増加、乳房再建に対する意識の高まりを受け、乳房再建を希望される患者数は年々増加しています。

乳房再建は、タイミングによって大きく3つに分類されます。

  1. 一次一期再建
    • 乳がんの切除手術と同時に再建をします。
  2. 乳がんの切除手術と同時に再建をします。
    • 乳がんの切除を一旦行い、後日改めて再建します。
    • その間はエキスパンダー(風船)を入れて乳房の皮膚がしぼまないようにします。
  3. 二次再建
    • 以前の手術で失った乳房を再建します。

また、再建する方法によって大きく2つに分類されます。

  1. 自家組織
    • 自分の皮膚・脂肪・筋肉を使用して再建します。
    • 主に、背中・腹部を使用します。
  2. インプラント(人工物)
    • シリコンバッグを使用して再建します。

従来は自家組織を使用した再建のみが健康保険の対象であり、インプラントによる再建は全額自費になっていました。しかし、2013年からインプラントによる再建も健康保険の対象となり、ハードルが低くなりました。

当院は、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会の認定する乳房再建用インプラント/エキスパンダー実施施設の一つです。一次一期・一次二期・二次再建の全てをカバーできる施設は、岡山県内に当院を含めて4施設しかありません(岡山済生会総合病院、岡山大学病院、川崎医科大学附属病院、川崎医科大学総合医療センター)当院は岡山大学病院と連携して治療を行っています。
自家組織による再建も行っていますので、病状やご希望に沿った再建方法を提示することができます。

担当医師

日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
乳房再建用インプラント/エキスパンダー責任医師

  • 乳腺内分泌外科:西山 宜孝
  • 形成外科:安積 昌吾
実績(2014年4月~2016年9月)
  • 広背筋皮弁:11例
  • インプラント:10例
  • DIEP flap:2例
  • 側胸部穿通枝皮弁:1例
  • エキスパンダー留置:13例
  • 乳輪乳頭形成:1例
  • 修正手術:1例
乳房再建術パンフレット

形成外科・乳腺外科では、岡山大学乳がん治療・再建センターのご協力をいただき、乳房再建術パンフレットを作成しました。 乳房再建術を受けるかどうか、どのような方法で再建するか、選択肢はさまざまです。 このパンフレットがより良い道を選択する一助になれば幸いです。

具体的な方法
A.自家組織を使用する方法
(1)広背筋皮弁
- 背中の筋肉(広背筋)とその上の皮膚・脂肪を使って再建します。
- 筋肉はいずれはしぼむため、あまり大きな乳房の方には不向きです。
- 手術時間は約4~6時間です。
・血管・皮膚・脂肪
背中から広背筋を皮膚・脂肪を胸に移動します。
3~6か月後
背中の傷は1本です。傷の向きがどうなるかはケースバイケースです。
傷が落ち着いた頃に乳輪・乳頭を再建します。
(2)腹部(脂肪)皮弁を用いる方法 - お腹の皮膚・脂肪を移植して再建します。 - 血管を顕微鏡でつなぐ為、手術時間は長くなります。(6~9時間) - お腹の筋肉は大部分で温存されます。 - ボリュームが大きく、乳房の大きい方に向いています。 - 直後に血管が詰まり再建した乳房がダメになることがあります。(約2%) - 将来、妊娠される可能性のある方は慎重に検討すべきです。 不要な部分は切除します。 お腹の皮膚・脂肪を胸に移植して乳房を再建します。 一度切り離した血管を顕微鏡で胸部の血管をつなぎます。 3~6か月後 傷が落ち着いた頃に乳輪・乳頭を再建します。 お腹の傷跡は下着に隠れます。 ※血流を安定させ合併症を防ぐため、手術前から禁煙を厳守してください。 ※お腹を引き締める為、術後三か月は腹帯を装着して下さい。
B.人口乳房を使用する方法 (1)インプラント(人口乳房)挿入法(1回法) インプラントを覆う為の十分な皮膚・筋肉がある場合に適応となります。 手術時間は約2時間です。 インプラントを大胸筋の裏側に入れます。 (2)エキスパンダー(組織拡張器)を用いる方法 皮膚・筋肉が不足している場合は、まず引き伸ばす必要があります。 手術時間は約2時間です。 約6か月後にインプラントか、自家組織に入れ替えます。 手術一回目 ・エキスパンダーを大胸筋の裏側に入れます。 ・生理食塩水を少しずつ注入し、皮膚・筋肉を引き伸ばします。 手術2回目 ・エキスパンダーを抜きます。インプラントか自家組織を入れ替えます。 3~6か月後 ・傷が落ち着いた頃に乳輪・乳頭を再建します。

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