![]()

乳腺は15~20の乳腺葉と乳管から成り、各乳腺葉は樹枝状に分岐して多数の小葉に分かれます。
乳がんに罹る日本人女性の数は年々増加して、毎年35,000人が新たに乳がんに罹り、今や胃がんを抜いて罹患率の最も高いがんになっています。30~64歳の女性のがん罹患率のトップになっています。65歳を過ぎると、罹りにくくなるのかといいますと、それほど減少しませんが、胃がんなどの他のがんの発生が増えてトップの座を譲るだけなのです。乳がん検診を毎年受けましょう。
![]()
今や年間に約35,000人が乳がんに罹り、9,000人以上が死亡しています。2015年には、乳がんに罹る人が48,000人に増えるとともに、死亡者も11,500人に達すると推測されています。
なお、罹患数は1位でも、死亡数は、胃、大腸、肺、肝に次いで第5位です。このことは、乳がんは外科手術をはじめとする種々の治療により救命できることが多いことを示しています。がんというだけで恐れることはありません。
以前はがんと聞けば大きく切りとった方が安全と考えられ、乳がんでも乳房と腋の下のリンパ節や胸の筋肉まですべてを切除していました。それが、欧米での臨床試験により、胸の筋肉は残しても生存率には差がないことが分かりました。そして、最近では小さな乳がんでは、乳房を残して、がんの部分のみを切除する乳房温存術が行われるようになりました。また、抗がん剤、ホルモン剤、放射線治療などが発達し、いろいろな治療を組み合わせたり、検査法の開発などにより、より小さな手術も可能になってきています。
乳がんの病期分類(ステージ分類)2004年6月
| ステージ0 | がんが乳腺内にとどまっているもの(非浸潤がんやパジェット病) |
| ステージI | しこりが2cm以下でリンパ節や他の臓器に転移を認めないもの |
| ステージIIA | しこりが2cmから5cm以下でリンパ節に転移を認めないものや、しこりは2cm以下だが腋の下のリンパ節に転移を認めるもの |
| ステージIIB | しこりが5cm以上だがリンパ節に転移を認めないものと、しこりが2cmから5cm以下で腋の下のリンパ節に転移を認めるもの |
| ステージIIIA | しこりが5cm以上で腋の下のリンパ節に転移を認めるもの、しこりの大きさにかかわらず、腋の下のリンパ節が周囲の組織と固定されているもの |
| ステージIIIB | しこりの大きさにかかわらず、皮膚に浮腫や潰瘍を形成したり、胸壁に固定されているもの |
| ステージIIIC | しこりの大きさにかかわらず、鎖骨の上や下のリンパ節に転移を認めるもの、胸骨の傍のリンパ節と腋の下の両方のリンパ節に転移を認めるもの |
| ステージIV | 骨や肺など遠くの臓器に転移しているもの |
![]()
![]()
(1)胸筋合併乳房切除術(ハルステッド手術)
乳房と胸の筋肉と腋の下のリンパ節を切除します。ずっと以前は、この方法が標準と考えられていましたが、現在では、がんが広範に胸の筋肉に浸潤しているときにだけ行います。
![]()
(2)胸筋温存乳房切除術
乳房と腋の下のリンパ節を切除します。大胸筋・小胸筋をともに温存するオーチンクロス法と大胸筋のみを温存するペティ法があります。
![]()
(3)乳房温存手術(乳房部分切除術)
乳頭・乳輪を温存し、乳房のしこりを含めた一部分と腋の下のリンパ節を切除します。手術後、残存乳房に放射線を当てます。
乳房を乳頭から(1)扇状にやや大きく切除する乳房扇状部分切除術、(2)腫瘍から約2cm離して円形に切除する乳房円状部分切除術と、(3)腫瘍から1cm離して円形にくりぬく腫瘤摘出術があります。
○乳房再建術
切除された乳房(全部または一部)を、自分の組織(筋肉や皮下脂肪)を使って形を整える手術です。乳頭をつくることもできます。
希望される方はご相談ください。形成外科医と協力して手術をします。
○センチネルリンパ節生検について
乳房切除術でも乳房温存術でも、今までは腋の下のリンパ節をごっそり切除していました。すると手術後に腕の痺れや腫張が起こったり、腋の下にリンパ液が溜まったりすることがあります。腋の下のリンパ節に転移しているかどうかを調べることは、手術後の補助療法の決定に重要です。しかし、がんが小さい場合は、リンパ節に転移していないことも多いのです。今までは、腋の下のリンパ節をごっそりと取らなければ、転移しているかどうか分かりませんでした。しかし、センチネルリンパ節生検を行えば、腋の下のリンパ節をごっそりと取らなくてもリンパ節転移がないと分かりますので、腋の下のリンパ節切除を安心して省略できます。その場合は、リハビリの必要もなく、入院期間も短期ですみ、早く日常生活に戻れます。
外科で診ます。
検診は済生会病院の健診センターと外科とで担当しています。
|
|
| エコー(超音波) |
|
|
| マンモグラフィ |
(1)初診時に行う検査
1)問診・視触診
2)乳腺超音波検査
3)マンモグラフィ(レントゲン検査)
乳房を上下、左右にはさんで撮影します
4)穿刺吸引細胞診
細い注射針(血液検査で使うくらい細い針)をしこりに刺して、細胞を吸引してこすり採り、顕微鏡で調べます。
○針生検
鉛筆の芯くらいの太さの針で組織を抜き取って、顕微鏡で調べます。
○外科的生検
針生検までして、診断がつかない時にします。皮膚を切開して、しこりを採り、顕微鏡で調べます。
(2)乳がんと診断がついた後の治療(手術)準備のための精密検査
| 1)乳腺MRI検査 | 多発病変とがんの拡がり診断に有効です。 | |
| 2)乳腺3D-CT検査 | 多発病変とがんの拡がり診断に有用です。 | |
| 3)骨シンチ | 骨への転移の有無を調べます。 | |
| 4)胸部CT検査 | 肺転移、リンパ節転移を調べます。 | |
| 5)腹部超音波検査 | 肝転移の有無を調べます。 |
|
|
|
| MRI | 3D-CT |
●当院の治療方針
![]()
![]()
岡山済生会総合病院における手術術式別頻度(2001~2004年)
| 拡大乳房切除 | 0.9% |
| 胸筋合併乳房切除 | 1.9% |
| 胸筋温存乳房切除 | 38.9% |
| 乳房温存手術 | 55.6% |
| 乳房扇状切除 | 8.8% |
| 乳房円状部分切除 | 42.6% |
| 乳房腫瘤摘出術 | 4.2% |
| その他 | 3.2% |
乳がんでは原発病巣だけでなく転移部位にも照射します。
1)乳房切除後の傍胸骨リンパ節や鎖骨上リンパ節に対して
2)乳房温存手術後の残存乳房に対して
3)乳房切除後の胸壁に対して
4)腋の下リンパ節に対して
手術時のがんの拡がり程度や顕微鏡検査の結果などを総合して、放射線治療の組み合わせ方を決めます。
手術で切除したがんを調べて、ホルモン・レセプターの有無を判定します。ホルモン・レセプター陽性のがんにはホルモン療法がよく効きます。
1)抗エストロゲン剤:タモキシフェン、トレミフェン
2)黄体ホルモン剤:MPA(メドロキシプロゲステロン)
3)LH-RHアナログ:ゴセレリン
4)アロマターゼ阻害剤:ファドロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン
抗がん剤には内服薬と注射薬とがあります。
1)術後補助化学療法
手術でがんを取り去った後に、目に見えない隠れたがん細胞を薬でたたいて、再発の防止を計ります。年齢や手術後の顕微鏡検査の結果(リンパ節転移の有無と程度、しこりの大きさ、核異型度など)、ホルモン感受性などの検査結果などを総合的に判断して、使用方法を決めます。
2)術前化学療法
がんが進行しすぎて手術がしにくいような大きな乳がんに対して、強力な化学療法を行って、がんやリンパ節転移を小さくしてから手術をしようというものです。
また最近では、そのままでは乳房温存療法ができない症例(3~5cm大に大きくなっている)に対し手術前に抗がん剤を注射して、3cm以下に小さくしてから、乳房温存療法をすることも試みています。
3)その他の薬物療法
ア)ハーセプチン(抗Her2モノクローナル抗体)
Her2蛋白陽性の転移性乳がんが対象です。
イ)ビスフォスフォネート(パミドロネート:アレディア)
骨転移症例に点滴します。
手術が済んだ後には、かかりつけ医と当院とが協力しながら治療に当たります。化学療法、ホルモン療法、放射線療法、などを組み合わせて、その人に一番適した治療をしていきます。
年に数回の血液検査と、年1回の画像検査(超音波検査、CT、マンモグラフィ、骨シンチ、MRIなど)を行います。
この外来通院のフォローアップは5年間がひとまずの目安になります。それまでは、調子が良くても、きちんと通院することが大切です。そして、5年以降も、1年1~2回程度の定期通院でフォローアップしています。
(1)リハビリ
・乳房部分切除+センチネルリンパ節生検のみで終了した症例では、特別なメニューの必要はなく、数日で日常生活に戻れます。
・従来からの乳房切除・腋窩リンパ節郭清の手術を受けられた場合には、決められたメニューに従ってPT(理学療法士)や看護師の指導でリハビリをします。
(2)リマンマ
乳房切除手術を受けられた方には、外見を整え易くするような補整下着の紹介などをしています。
また、1ヶ月に1度専門メーカーによる相談会も開いています。
(3)りんごの会(済生会病院で治療を受けた患者さんの会)
手術後の不安や疑問について語り合うことで、より豊かな日常生活が送れるようにと、患者会があります。
・ 相談会は毎月第1金曜日の午前中(10時から12時)に開いています。
済生会病院の乳腺担当の医師、看護師と乳がん体験者の全国組織であるあけぼの会のボランティアの協力で続けています。
・ 毎年秋の土曜日には、医師の講演やがん体験者の話などを聴く会を開いています。終了後には、そこで知り合った仲間と昼食を共にしながら語り合ったりして、楽しいひと時を過ごしています。
・ また、毎年春には、里山ウオーキングの会をしています。
・ 行事の詳細は希望されている対象者には連絡しています。
→詳しくはこちら